第14章 束の間の いとま
次の満月までに
それまでに私には
完成させないと行けない課題があった
「あの、杏寿郎。言いにくいんだけど……」
「言わずとも、分かっている。
俺は先に炎屋敷に戻っている、
……どれぐらい掛かりそうだ?」
以心伝心とはこの事なのだろうか?
杏寿郎には私が言いたい事が
伝わっていた様だった
私にはやらなくちゃならない事がある
このまま彼と炎屋敷に行く前に
ぎゅっとあげはが自分の拳を握って
「……5日ほど、…と考えてるんだけど」
ここに戻る前に
鴉に手紙を届けてもらっている
「そうか、なら俺は!その間…、
竈門少年達と稽古でもする事にしよう!
里に立つ前に、正式に竈門少年の返事も
貰ったからな!」
「え?でも、そんな……話、
しなかったよね?聞いてないんだけど」
里であんだけ ゆっくりして居たのに
話をする時間だってあったのに
炭治郎君が
継子になったって聞かなかったし
「ああ、言わなかったからな!
竈門少年だけじゃないぞ!あの二人も一緒だ」
「それは、良いとして……どうするつもり?」
あげはが言いたいのは
彼らを巻き込むつもりなのかと
言いたい様だ
「あの少年達は、
君の右耳の事情を知っている」
杏寿郎の言葉にあげはがハッとする
「炭治郎君も……知ってたんだ、
善逸君には……」
「我妻少年は、君に聞いたが、
誤魔化されたと言っていたぞ?
君は心配を掛けさせたくなくて、
そう言ったのかも知れんが。
それは、良くない」
「彼等を巻き込む訳には……」
「気が引けるか?少年達は……、
君の力になりたそうにしてたがな?
君は、そんな少年達の気持ちを
無下にするような、薄情な人間なのか?」
薄情……
前の私なら 誰かの協力を
誰かが傷ついてしまうかも
しれないような状況で
お手伝いしてもらおうだなんて思わなかった
でも しのぶちゃんも
頼ったらいい って言ってくれた
義勇も 頼りにして欲しいって
言ってくれた
それだけじゃない
蜜璃ちゃんも
宇髄さんや 不死川君も……みんな
炭治郎君達の気持ちを
そのまま ありがたく 受け止めて
いいのだろうか?
「でも……、いいのかな?」
「でも、内密に済まされるよりも、
少年達も喜ぶと思うがな!」