第13章 湯治編 小さな蜜月 ※R-18
「前の日輪刀と色味が違うようにあるが、
赤い部分が増えてるのは、君の中の
炎の呼吸の適性が高まった証拠か?」
私の中の炎の適応が高まった要因は
多分 この人と過ごして
私が 感化された部分が多いような?
「そうですね、炎の呼吸を使う機会が
以前より格段に増えたのは…確かですし」
炎の呼吸への適正が高まったから
この色が出て来たんだろうな
だって 炎の呼吸の派生呼吸だし
新しい刀を手にしてるのに
あげはの表情は浮かない
それもそのはずだ
私には自信が無かったから
新しく適性が生まれたとは言えども
私には あの変則的な動きの
柔軟性を問われる呼吸を
使いこなせる自信が無かった
自分の手にある日輪刀
驚くほどに手に馴染んでる
さすがだ 鉄珍様が打っただけの事がある
初めて握ったはずなのに
もう何年も使ったかのように
しっくりと来る
この刀が凄いのは斬らなくても分かる
「鉄珍様!ありがとうございました」
そう言って深くあげはが頭を下げた
ぽんっと頭に手を置かれた
鉄珍様だ
あげはの頭を鉄珍が撫でる
「あげは、ええ男……見つけたやんか。
大事にせなあかんで?」
「え?あ、鉄珍……様?」
大事にする 私が? 杏寿郎を?
鉄珍の言葉にあげはが困惑していて
それもそのはずだ
なぜ 女性の方に 大事にしろと言ったのか
「鉄珍殿!心配には及ばない、
あげはの事は俺が…」
ふっと鉄珍が息を漏らしたのが聞こえた
「そう言う意味やないんやけどな、
ええ報告、待っとるで?」
鉄珍の言葉にあげはは杏寿郎と見合わせて
「はい、必ず!お伝えに上がります」
「鉄珍殿の、期待に応えて見せよう!」
そう笑顔で鉄珍に返した
「鉄珍様!お世話になりました」
スッとあげはが立ち上がって
鉄珍に里で世話になった事への礼を言った
「ああ、日輪刀が打ちあがったのであれば、
こうもしておれんな!」
「なんや、もう立つつもりなんか?
えらい、せっかちやなぁ。もうちょっと
ゆっくりして行ってもええんやで?」
「今度……、寄らせてもらう時は、
ゆっくりさせて頂いてもいいですか?」
とあげはがはにかみながら嬉しそうに話した