第13章 湯治編 小さな蜜月 ※R-18
あげはは違和感を感じていた
やたらに多くの刀鍛冶がいる事に
「あげは、アンタの色は珍しいさかいな、
みんな興味深々なんや、堪忍したってや」
と鉄珍がこそっとあげはに言った
鉄珍の手から新しい日輪刀を受け取る
フワッと手にした時の
腕に伝わる重みが 明らかに
軽い
前の刀より軽い
「鉄珍さま、これ……」
「気ぃ付いたか?
軽うしてあるけど、もろーはないで?
当然やな、ワシが打った刀やさかいな!」
余程の自信作なのか
それを打った鉄珍は誇らしげに言った
あげはの日輪刀の色変わりを
見に集まっている刀鍛冶の中で
あまり待たせるのも気が引けるし
あげはが鞘から日輪刀を抜いた
ズズズズズッ……
私の日輪刀は 七色
でも正確に言うと七色ではない
手元側から適応の高い呼吸の色に染まる
私は元々 水の呼吸を使っていて
鏡の呼吸も水の呼吸の派生の物だから
根元の色は 青く染まる
それから 次に 使いやすくて良く使う
雷の呼吸の 白く稲光の模様が細かく入った
黄色に染まる
そして色と色の間は
その二色が混じった色になる
この混じってる色が入るから
色味が多く見えるのだ
あれ?おかしいな
前と色の入り具合がが……違って
確かに前の刀も 次は赤色だった
それは今も同じだ でも明らかに
赤い比率が増えている
そうか 炎の呼吸を使う頻度が上がったから
私の中の適応が増えて
色の比率が変わったんだ
そしてその赤い先に
出て来た色が
桃色で でもこの桃色の色味は……
花の呼吸の色じゃなくって
私は元々花の呼吸への適応は低くて
こんな所に表れるわけもない
やっと一つだけ 型が使えるだけだ
でも この桃色の色味は……
目の前に居た 鉄珍がにやにやと
お面の下で笑ってるのが
あげはにも分かって
それもそうだ 鉄珍様はこの色が
何の呼吸の色なのかご存じなのだから
そして その桃色の先に緑が表れて
その全体の表面が光沢に包まれて輝く
鏡面加工を施したように全体が
「そうか、君の鏡の呼吸への適性は
その輝きに表れている訳か!」
複数の色への色変わりを見て
興奮気味に杏寿郎が話した
この様子からだとバレてないのか
良かったと内心
あげはは胸を撫でおろした