第13章 湯治編 小さな蜜月 ※R-18
色々と見せられて提案されるので
それに
いいのか悪いのかを聞かれる
「そうか!大体把握したな、
なら…実践だな」
「え?実践?今から……ですか?」
「さっき色々聞いて、
君の趣向は……大体把握したからな」
そう言って満面の笑みで杏寿郎が笑った
無論 その後実践する事になったのは
言うまでもなく
次の日
里の人が離れに来て
日輪刀が完成したと告げられた
鉄珍の待つ広間へ行くと
そこには鉄珍と杏寿郎の担当の刀匠が居て
正座して座っている前には
布に包まれた刀が置かれていた
少し後方の方には 刀鍛冶が数人
きっちりと正座をして並んでいた
「えらい、待たせてすまんかったなぁ。
まぁ、2人には
丁度ええかったかも知れへんけど」
含みのある鉄珍の言葉に
あげはが顔を赤く染めあげてしまった
「す、すいませんっ、ゆっくりさせて
貰いすぎてしまいまして……」
「ははははっ、まぁ、それも
ええやんか。若いんやしなぁ。それより、
出来を確認してもろてもええやろか?」
あげはが鉄珍に促されるままに
新しい日輪刀を手に取ろうとしたのを
杏寿郎が静止する
「俺が、先にさせて貰おう!
君の様な七色に色変わりする様は
なかなか見れる物じゃないからな!」
そう言って 刀匠より差し出された
新しい日輪刀を杏寿郎が手に取った
新しい刀とは思えないくらい
精巧に再現されているな
新しく打ち直したと言われなければ
気が付くまい
鍔は元々の物だが 拵えや鞘も
重さの芯の位置も…
ああ しっくりと来る
”俺の刀”だ
「抜かなくても、…分かるな。
ここまで見事なまでに、再現して頂けるとは
正直俺自身も思っていなかったからな!
有難い事、この上ないな!感謝する!」
スッと杏寿郎が鞘から
日輪刀を抜くと
ズズズズズッーーー
根元から赤く
その刀身が赤く染まって行く
彼の本質を表すかの様な
紅蓮に燃え盛る炎の様な 赤に
「全てを焼き尽くす、
紅蓮の炎の様だ、美しい」
後ろでその様子を
見学していた刀鍛冶が漏らした
くるっと杏寿郎がこちらを振り返ると
「今度は君の番だぞ!」