第13章 湯治編 小さな蜜月 ※R-18
「あ、忘れてました!
こっちを先に話さないとと思ったので…」
杏寿郎に言われて 本来の目的を思い出して
しのぶからの手紙を読むと
隣から杏寿郎がそれを覗き込んで来て
「俺は、
速記はさっぱり読めん、ミミズみたいに見える」
「えっと、…ですね。音だと
思うんじゃなくて、血気術だと思えばいいと…」
「音を防ぐ方法ではなく、血気術を防ぐ
方法を考えろと言う事か?謎かけか?」
音だ声だと 意識し過ぎて
音を防ぐ方法ばかり考えてた
音の性質は持っているが
元のあらましを考えれば
血気術なのだだとしたら…
「あの、私…わかったかも知れません…」
「ああ、俺も今しがた、気が付いた所だ!
君が居れば彼の血気術は破れる!勝つぞ!」
「でも、できるか…
今までして来たのとは…違うし」
自分にそれが可能なのかと
あげはは不安に感じている様だった
「君ならできる!俺は、君を信じているぞ!
君は鬼殺隊で唯一の“鏡柱”なのだからな!」
そうだ 私は 鏡柱だったのだ
私なら出来る そしてそれは私にしか出来ない
「杏寿郎!」
「どうした?あげは」
「しのぶちゃんには…」
「生姜の佃煮だろう?心得ているぞ」
「しのぶちゃん……、ありがとう」
もう一度 あげはが手に持っていた
しのぶからの手紙を読み返して
ギュッとその手紙を抱きしめるようにして
自分の胸に押し付けた
ポロっとその瞳から涙が零れて
「ど、どうした!
あげは!何故泣いてるんだ?」
私が泣いていたから
慌てて杏寿郎が私の涙を拭ってくれた
「嬉しくて」
「嬉しい?」
「しのぶちゃんの手紙……、ここの所」
あげはが速記で記された
手紙のある部分を指さして見せた
俺にその速記の手紙を見せられても
ミミズにしか見えないのだが
「あげは姉さんって書いてあるから……、
しのぶちゃんが、私の事…姉さんって、
……だから嬉しくて」
コツンとあげはの額に
杏寿郎が自分の額を合わせて
「だったら、君の妹の為にも。
ますます、負けるわけには行かんな!」
「はい!絶対に、負けませんよ!
しのぶちゃんも、義勇も…みんなも一緒ですから」
そう言って あげはが笑った
そても穏やかな笑顔で