第13章 湯治編 小さな蜜月 ※R-18
その後知らない間に
疲れて眠ってしまっていて
少し白み出した頃に不意に目を覚ますと
「あげは…」
「ん?杏寿郎さん?…起きてらしたんですか?
おやすみには、なられたんですか?」
自分がウトウトとしてる時
この人は休んでるんだろうか?
「少しだけだがな…」
「だったら、もう少しおやすみに
なられては?慌てて起きる必要も、
ここにいる間はありませんし」
休むように提案してみたものの
彼からの返答はない
いくら彼が若いとは言えど
流石に少しは休んだ方がいいのでは…
「あ、あの…杏寿郎さんっ?」
「呼び方、戻ってるぞ?まだ足りないか?
あげは、君は、情事の最中しか
呼び捨ててくれないのか?
俺は、寂しいのだが?どうなんだ?」
ギュッと縋り付くように
体を寄せられて強請られる
呼び捨てて欲しいと言う事なのかな?
「だが、君がそうするから…そうされると、
俺がそれを思い出して、
君がまた、欲しくなるかも知れんがな?」
そんな事言われたら 呼ぶに呼べない
困ってる私を見て彼がニヤニヤと笑っていて
「あっ!わざとですね!そんな事言って!」
「あげは」
「何ですか?杏寿郎さん」
「俺は、君が好きだ」
「えぇ?あ、あの…」
情事の最中でもないのに
好きだと言われてしまって
一瞬 取り乱してしまった
頭の中では事の時に
好きだと言われた時の声が
鮮明に蘇って来て
きゅっと自分の中が締まったをの感じて
体の方がハッキリ記憶してて
正直悔しくもあった
「思い出してしまったか?君からも
言ってもらいたいのだが…、その時
じゃないと難しいか?どうしてくれるんだ?」
え?何をどうすると言うのか?
「君のせいだぞ?あげは」
私が された方なのに
何を責められてるのだろうか?
「あ、あのっ、
私が…何か…しましたか?…っ!」
抱きしめられてるから 気がついたけど
当たってる… いや当てられてるのか
「そ、その…、これ…以上はっ…許して…っ…」
「一刻の猶予も与えないと…、俺は言ったが?」
それってそうなるまでの 猶予じゃなくって
何度も確認とってたのって もしかして
「それに、俺で満たして欲しいと
言ったのは君だろう?違うのか?」