第3章 琥珀糖の
俺はその日 甘露寺に選んでもらった
彼女への礼を携えて蝶屋敷を訪れていた
先日の任務であげはに縫ってもらった
傷の抜糸の為だ 診察室でしのぶが
杏寿郎の傷の状態を確認する
「うん、これなら、抜糸しても
良さそうですね」
抜糸が済んで新しいガーゼを当てられる
止血したら外してもいいと言われた
「今日は、彼女は?」
「ああ、あげはさんの事ですか?」
「先日は世話になってしまったので、
礼をしたいのだが…」
なるほど 煉獄さんは私に
承諾を得てから出会いたいと
私が前に知らない所で
求婚してたのを咎めたのを
気になさってるのでしょうか?
「残念ですが、今日はお仕事に
行かれてるので。ここには
居ませんよー」
「あの場に、彼女が居合わせて
くれていて、助かった」
「それはそうでしょうね、
何せ、本業の方…ですし」
しのぶがあげはと同様に本業と
言っていたのが 引っかかる
「あげはさんの事、
居てくれたらいいのにーって
思ってるんじゃないですか?」
確かに彼女が居てくれれば
何かと助かるだろうが…
「前にも言わせてもらいましたが、
あげはさんはウチの大切な人なので、
お譲りしかねます。
彼女は物じゃありませんし、
ご自身の意思でそうしたいと
おっしゃられるのなら、ともかく…」
今日の胡蝶はいつにも増して
棘が多い様にある
彼女を手元に置いておきたいと
思っているのは
胡蝶も同じなのだろう…
「俺は、礼がしたいと
言ってるんだが?」
そんな話をしに来たのではないと
しのぶに言った
「…言付けがあるのでしたら、
お預かりしますけど?
いつお戻りになるか、
わかりませんし…」
「大丈夫だ、問題ない!心得ている、
これを彼女に渡してもらいたい」
そう言って
小さな筒状の包みをしのぶに手渡した
大きさは20㎝弱 瓶に入ってるのか
それなりの重みのあるものだ
「では、確かに。
お預かりしましたので」