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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第12章 湯治編 刀鍛冶の里にて


思ったよりも時間が掛かってしまったな
あげはを随分と待たせてしまっているな
それは鉄珍と話をした後に
頼まれてではあったのだが
鉄友に会いに行ったからだ

杏寿郎の手には
かつて 透真の刀だった物があった

離れに戻ると
時間を持て余していた彼女は
温泉を楽しんだようで浴衣に着替えていた

「すいません。お先にお風呂…あちらで
頂いて来ました。まだお夕飯に時間が
かかりそうですし、杏寿郎さんも温泉
浸かられてはどうですか?…それ…
もしかして!」

あげはの目が俺の手にある
日輪刀に向けられていて
「ああ、これか。預かって来た、
冨岡に渡して欲しいと」
「鉄友さんが…、
これを義勇に託してもいいと…
仰ったんですね…。
あの、杏寿郎さん…その刀…」
あげはが恐る恐る俺の名を呼んで
杏寿郎にお伺いを立てるように
声を掛けて来た

「ああ、そうだな。これは…君から…
君の手から、冨岡に渡してもらえるか?」

彼女が言いたかった事を察して
杏寿郎がその刀をあげはに差し出した
杏寿郎の手から一振りの刀を
あげはが両手を伸ばして賜るように受け取った

その手の中にある刀を愛おしそうに撫でる
まるで乳飲み子でも抱くように
そっと刀を抱いて 撫でていた

彼女の中にはまだ
彼を想う 気持ちがあるのか
それとも それを単に懐かしんでいるのか

「ここにこれが…あると言うことは…」
「ああ、彼はここの場所を知っている。
これがここに届いたのは3年前だ…だが
この里は無事で…今も場所もここのままだ」

その事から推測するに
彼はここを襲撃するつもりはないと言うこと
いや それを言うなら蝶屋敷が無事な時点で

彼には彼なりの美学と言うか
拘りの様な物があるように感じる
あくまで彼の目的は鬼殺隊の殲滅にあらず
俺の目の前に居る 彼女だけだと言う事だろう

それもそうか

彼女の過去の恋人達が殺された時も
自宅で死んでいた者もいたが
殺されたのはあくまでその恋人のみで
その家族等を手にかける事もなく

無駄な殺生はしないのが
彼の拘りなのだろうか?

今考えても仕方のない事か
俺がいくら考えた所で 憶測でしかない
それもこれも彼に直接
聞かなければわからないしな
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