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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第11章 バラと琥珀糖


「何をしておいでですか!
通行の妨げになります」
キビキビした口調で洗濯物を抱えた
アオイが声をかけてきた

「ああ、すまん。邪魔になってしまったな」

アオイが通りやすいように
通路をあけながら杏寿郎が言った

中庭には炭治郎たちが3人娘を背中に乗せて
腕立て伏せをして鍛錬を始めていた

バサバサと中庭の上空に白い鳥の影が見えて
真っ白な鴉が空から降りてくる

その姿を見たあげはが中庭に降りると
白い鴉へ両手を広げて
「環!お帰り」
自分の腕に白い鴉をとまらせると
その体を愛おしそうに撫でる

「環、列車の時はありがとうね。環のお陰で、
沢山…怪我してる人助ける事ができたから」

「その功績を自分だけの物にしない所も
君の、美徳だな!」
そう言って杏寿郎があげはに声をかけた

「そうですよ、私たちが鬼を倒すだけじゃ、
ないですから。色んな人の手を借りて、
私たちがお仕事できるんですもの」
「そうだな、刀鍛冶がいなければ、日輪刀は
打てないし、藤の花の家の者がいなければ、
休息も取れん隠にも、随分と世話に
なっているしな!ここの君達にもな」

あげはに撫でられて
真っ白の鴉が心地良さそうに寛いでいる
彼女とこの鴉は信頼関係で
結ばれているのがわかる

「真っ白の鴉か、珍しいな」
「この子はアルビノですよ」

アルビノ 前にあげはに聞いた話の
アルビノの少年の事を思い出す

「この子はこの色のせいで、鴉の中でも
除け者にされて暮らしていたみたいで」

動物も自分の毛色と異なるものを
忌み嫌う傾向があるから生まれつき
親と見た目の異なるこの鴉も
寂しい思いをして生きていたのか

カァーと白い鴉が鳴いて
手紙を読めと催促している様だった

「ごめんごめん、環。お手紙だね」
「そう言えば、列車の時も思ったのだが…
もしや、君の鴉は…人語を話さないのか?」

普通の鴉の鳴き声を上げているのは
列車の時も聞いたが
あげはの鎹鴉が人語を話しているのを
聞いた事がなかった

「ええ、話しませんよ。でも、私が
言っている事は理解してくれてるので」

鎹鴉は人語を話す
白い羽の色も赤い瞳もさることながら
あげはの鎹鴉は人語も話さない
鎹鴉の中でも変わった存在であるのは確かだ
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