第11章 バラと琥珀糖
「それは、個々に合わせて引き出物を
変える様にすればいいのだな?わかった、後で
リストアップしてくれ。付き合おう!俺の
分かる範囲なら、だが、俺が聞きたいのは
そうではなくて…」
あげはが何を言いたかったのかを
話の流れで悟ったのか
彼に先を越されてしまった
「杏寿郎さんは、上背もおありですし、
お身体も鍛え上げられた、素晴らしいお身体
ですし、お顔も整っておいでなので。
洋装も和装もどちらもお似合いでしょうね!
お髪のお色も、白にも黒にも映えるでしょうし!」
「俺の事は、どうでもいいだろう今は。君が
俺の容姿について、どうこう言うのは初めて
聞いたが、君の事を決めたいのだが?この前
のワンピースはとても君に似合っていたな、
色のドレスも合いそうだが…君の好きな色を
聞いてなかったな」
「でも、薄い桃色とか藤色…よりも、
赤の方が…」
「赤のドレスか、君は色が白いから
似合いそうだが。それは俺の髪に合わせてか?
……あげは?」
あげはからの返事がなかった
話している内に
ウトウトと眠ってしまっている様だった
俺の体にもたれかかったままで
眠っているあげはをそっと横にさせると
その頬に口付けを落とした
5年前の俺は
彼女と本当に結婚できるとは
夢にも思っては いなかっただろうが…
だが 5年前の俺の目に
狂いはなかったと言う事だ
彼女のような女性には
そうそう出逢えるものではないからな
「おやすみ、あげは」
次の日ーーー
朝ご飯を済ませて
支度を整えると杏寿郎が昨日の約束通り
あげはの髪にバラをさしてくれた
2人揃って産屋敷の元を訪れて今回の
無限列車の一件の報告と
自分達の怪我の状況を説明した
「話は聞いているよ、杏寿郎、あげは。
君たちは凄い子だ…、200人の乗客は…
誰も死ななかったんだね」
お館様の声 相変わらず
聞いているとふわふわと心地いい
安心感と高揚感を感じる
「しかし、お言葉ですが…お館様。
上弦の鬼を、取り逃してしまいました…」
恐縮しながら杏寿郎が言った
「上弦の鬼の力は…、柱3人分…私は、
君たちの命があって、良かったと思ってるよ」
「ありがたいお言葉、痛み入ります」
2人の身を案じる
温かい産屋敷の言葉にあげはが返した