第11章 バラと琥珀糖
「ああ、それぐらいあった方がいいな」
と言われて 私の髪には6本
バラがささってるんだけど
「多すぎませんか?」
「いや、多くない。6本でも、
霞んでしまったな」
「へっ?」
「君は…綺麗だな、このバラよりも…」
「可愛いの次は、綺麗ですか?」
「今は、俺の…君だろう?」
そう言って愛おしそうにあげはの頬を撫でると
ギュッとあげはの体を抱きしめる
「初めて出会った頃の事を、覚えてるか?」
「あの、趣味の悪い腹を裂いて腸を
引きずり出す鬼を退治した時の事ですか?」
「俺はあの時、君の顔が月明かりが眩しくて
見る事ができなかったが、ここの庭で君を
見た時。君があまりにも可愛らしく、
美しかったから、天女か妖精か何かかと
思ってしまたんだが…」
「私は、人間ですよ?」
「人の話は、最後まで聞くべきだぞ?あげは。
君はバラの精だったんだな」
「婚約者にもらったバラをその辺に配りまわる、
妖精ですがね」
「ハッハッハッハハ、流石にバラの精でも
107本は多すぎたか?」
「持て余しているのは確かですけど、
でも飾って枯れて、捨てられるより
有効な活用法を見出してあげなくては、
バラが可哀想ですから」
バラが 可哀想……か
切り花になっている
バラの運命なんて花瓶に生けて
枯れれば捨てられるものだと思っていたが
彼女からするとそうでもないらしい
切られたバラにも活用法を…か
なんとも彼女らしい考え方だな
「だが、確かにあの3人娘も、二つくくりの
少女も髪にバラをさして嬉しそうに
していたからな」
「それだけじゃないですよ」
あげはの言葉に
どう言う事だと言いたげな顔をした
「と、言うと?」
「カナヲは頭のバラを、炭治郎君に褒められて
喜んでましたし。きっと善逸君も、今夜
禰󠄀豆子ちゃんにあのバラで作った花束を
プレゼントすると思うので」
いつかのあの風船を思い出して
彼女が1人で持っているよりも
誰かの笑顔を作るのが
バラにとっても幸せな活用法と言うわけか
「蜜璃ちゃんには、いつ会えるか
わからないので、部屋でドライフラワーに
してますよ、ポプリにしようと思って」
そう言って話をする
あげはの顔も穏やかで嬉しそうだった