第11章 バラと琥珀糖
炭治郎に可愛いと言われて
カナヲが顔を真っ赤にして俯いてしまった
「か、か、可愛いっ…?
それも…、凄く…っ、私が?」
「赤いバラも可愛くて綺麗だけど、
カナヲも可愛くて綺麗だから…あっ!」
自分でも恥ずかしい事を言ってしまったと
炭治郎まで赤面して俯いてしまった
2人して顔を真っ赤にして
俯いたままで気まずそうにしている
「何?何なの?赤いバラの
バーゲンでもしてた訳?あー、やだやだ、
やだよ。アレ、誰か止めてぇ!
見てるこっちが、恥ずかしくなちゃうでしょ?」
炭治郎とカナヲの甘酸っぱいやりとりを
尻目にしながら善逸がぼやいた
蝶屋敷の花瓶という花瓶に
赤いバラが飾ってあって
今のカナヲだけじゃなくてアオイさんも
あの3人娘も頭にバラの花をつけてたし
「あ、善逸君、ここにいたんだ」
「ああ、あげはさん、何でここ、
赤いバラ祭りになってんの?どうして?」
「はい、これあげる」
とあげはが善逸に小さく束ねた
赤いバラの花束を手渡した
「やっぱり、バーゲンだったんじゃん、
赤いバラ」
赤いバラがメインだが
霞草や違う花も入ってる
「ちょっと、訳があってね。赤いバラが
沢山あるんだ。良かったら、禰󠄀豆子ちゃんに
善逸君から渡して欲しいなーって」
「え?俺から?禰󠄀豆子ちゃんに?
渡したいなら、自分で…あ!え?いいの?」
「きっと、禰󠄀豆子ちゃん、喜ぶと思うし」
赤いバラだけなら
大人っぽすぎるかもしれないが
霞草と他の花も入っていて
可愛らしい可憐な花束は
禰󠄀豆子に似合いそうだった
「いいんですか?あげはさん、
禰󠄀豆子も喜びます。ありがとうございます」
炭治郎がお礼を言えない
禰󠄀豆子の代わりに礼を言った
善逸は自分の手の中の
小さな花束を眺めていて
これを渡した禰󠄀豆子が
喜ぶ姿でも想像してる様だった
「正直、俺はあまりいい
気分ではないがな?あげは」
声が上から降ってきて
あげはが見上げると杏寿郎が立っていた
確かに贈った 当の本人としては
それを皆に配って回られたのでは
あまりいい気分ではないだろう
「あ、でも…あの1本は、
ちゃんと私の元にありますよ?」