第11章 バラと琥珀糖
「え?そうだと姉さん思ってたのにな、
カナヲがそう言うんだったら、今はそうかも
知れないけど。それに私は、炭治郎君なんて
一言も、言ってないよ?」
「そ、それは、あのっ、違うからっ!
あげは姉さん、
…後で…お話、聞きたいです…」
「あげは!君の妹は初々しくて可愛らしいな!」
「ーーーー!!」
突然杏寿郎に可愛らしいと言われて
カナヲが顔を真っ赤にする
「ちょっと、煉獄君っ!カナヲになんて事
言うの!そんな、カナヲが可愛いなんて、
当たり前じゃないの!」
「ええっ!あげはっ、姉さん?」
「カナヲは元々可愛いけど、
もっと可愛くなるよ?」
だってそれは まだ恋と呼ぶには
不確かなものかも知れないけど…
そう言えば カナヲから話を聞きたいと
言われるなんて珍しいな
「お話って、いいけど、何について…」
「どうして、煉獄さんと…結婚する気に
なったのか…とか。だって、私が記憶してる限り
…あげは姉さんは…むっ」
あげはが凄い速さでカナヲの口を手で塞いだ
「あ、カナヲちゃん、あっち一緒に行こうね」
とカナヲの手を引いて
あげはがここから離れようとしたので
ガシッと杏寿郎がその手を掴んで制止した
「すまないが、栗花落少女。
あげはをしばらく借りるぞ?」
「大丈夫、私は…急がないから。ごゆっくり」
杏寿郎に手を引かれて
近くにあった空いている病室へ入った
「さあ、さっきの話について
…聞かせてもらおうか?」
「さっきのって、
カナヲにしてた話についてですか?」
杏寿郎があげはに
話ている内容とは違う
質問が書かれた紙を見せた
質問は
”彼の声が右の耳から聞こえる時があるか”と
言う旨の物だった
そして返事は 声に出すなと
誰にもこの話をした事がないのに
どうして 杏寿郎さんはこれを知ってるの?
私の右の耳からだけ聞こえる彼の声の事を
「話せないか?あげは…話せないなら…」
「あの…それは…」
杏寿郎の差し出した手のひらに
指で○を書いた
「君の体に…聞くことになるが…どうする?」
「そんな、別に深い意味は…」
会話はあくまであまり意味はない
いわゆるフェイクだ
杏寿郎さんが話したいのはそれではない
別の言葉が書かれた紙をあげはに見せる