第11章 バラと琥珀糖
俺はここへは今までにも
何度か訪れているが
俺の記憶が確かなら
この少女と言葉を交わすのは
初めての…はずだ
「煉獄…さんは、えっと、あげは姉さんと、
そのっ…結婚…するの?」
「ああ、無論。そのつもりだ。
君の姉を取ってしまって悪かったな!
ちゃんとあげはの事は幸せにするから、
安心してもらえると嬉しいのだが?」
じっとカナヲが無言のままで
杏寿郎の目を注視して見ていた
この少女の眼…変わった眼をしているな
深い 深い
澄んだどこまでも見透かすような眼だ
「嘘は…ついてない、安心した…」
「ああ、俺は嘘は付けない方だからな!
君が何に安心したのかは、俺には理解できんが
あげはの事なら、心配には及ばんぞ?」
そう言って笑うとポンポンとカナヲの
頭を杏寿郎が撫でた
「君は、あげはの妹なんだろう?
だったら、俺の妹でもあるな!
何か困った事があったら、話すといい」
「あ。カナヲ…、探したよ。ここにいたんだ」
あげはが屋敷をカナヲを
探して歩いていた様だった
「あげは姉さん…私を、探して?」
「これ、カナヲにあげようと思って」
ステッキの形をしたシャボン玉だった
「これ、すごいんだよ!吹かなくても、
沢山シャボン玉作れるんだよ!
カナヲにあげようと思ってさ。
街で見つけたんだよ、お土産」
あげはが興奮気味に
シャボン玉の説明をカナヲにする
あげはからそれを受け取って大事そうに
カナヲが胸の所でそれをギュッと抱きしめた
「ありがとう。あげは姉さん。大事にする」
「いいんだよ、使って欲しくて買ったんだから」
そう言ってあげはがカナヲの頭を撫でる
「でも、喜んで貰えたんだったら。
私も、嬉しいよ」
後ね と自分の懐から何かを取り出して
カナヲに握られせた
「あげは姉さんっ…これ」
「色のついたリップだよ、口紅はまだ早いから、
今は、これね。カナヲは元々可愛いけど、
女の子なんだからお洒落しないとね」
カァっとカナヲが赤面して真っ赤になる
「たっ…炭治郎は、そのっ、
そ、そんなんじゃ…ないからっ!」