第11章 バラと琥珀糖
「あ、そうそう、まだ刀の打ち直しに
日が掛かるでしょうし。明日はお二人で、
お館様にお顔を
お見せに行かれてはどうですか?」
「確かに、お館様に
自分の口で報告もせねばならんし、
ご心配をお掛けしてしまっているしな!」
「ご報告…と言いますと、
お二人のご結婚でしょうか?」
しのぶがニヤニヤして笑っていた
「ああ、正式に承諾してもらったからな!」
「そうですか、それは良かったですね」
炭治郎があげはの左手の薬指の指輪に気づいて
「あ、あげはさんそれ…、
もしかして煉獄さんからですか?」
伊之助が何の話だと体を前にして覗き込む
「何だ?すっげえ!
キラキラの石じゃねぇーか!!」
ダイヤなんだから
キラキラもするだろうけども
「う、うん、そうだよ。煉獄君から貰ったんだ」
「えぇええー!!これ、婚約指輪ですよね?」
かなりの大きさのダイヤがあしらわれていて
隣のピンクの石は
きっとピンクダイヤだろうから
かなり値の張る指輪に違いない
「お二人は、ご結婚されるんですか?
いつですか?結婚式は挙げられるんですか?」
と炭治郎が興奮気味に次々に質問する
「結婚?何だそりゃ…」
結婚の意味がわからない伊之助は
怪訝そうな顔をしていたので
「伊之助に…わかる言葉で言うと、
番になる約束みたいなものだよ」
そうあげはが 伊之助にわかる言葉で
結婚について説明をした
「おお!つがいになるのか!!
だったら、子供が出来んのか?いつだ?」
「うーん。伊之助、それはまだだぞ?
結婚式が済んでからだ!」
「ケッコンシキ?それって、食えんのか?」
「食べれるよ」
とあげはが言って
「本当か!あげる?いつだ?
ケッコンシキいつするんだ?」
と身を乗り出して聞いて来たのが可愛らしくて
「しばらくは、無理だろうけど、その内にね。
でも、エビの天ぷら沢山用意するね、その時は」
そう言ってあげはが笑った
しのぶの診察室を後にして
杏寿郎が廊下を歩いていると
向こうからカナヲが
こちらへ向かって来るのが見えた
「あ、あのっ…」
声を向こうから掛けられて
杏寿郎が足を止めた
「君は、胡蝶の継子だな、名前は…」
「栗花落…カナヲ…」
「どうした、栗花落少女。俺に何か用か?」