第11章 バラと琥珀糖
「強引な方法だったのは、謝る!敵を欺くには
まず味方からとも言うからな!だが…、それで
得た事もある。……例えば、君が左の首が
弱いとかな!」
そう言って嬉々とした顔で笑った
「それは!余計な情報ですから!」
「そうか?俺には、有益だがな」
「また、そんなバカな事言って……」
「とにかく、君は安心して、
俺に全て任せておくといい!」
何ともそうキッパリと言い切られてしまうと
頼もしい限りだなぁと思うあげはであった
まぁ 確かに
それを探る為の名目でもあった
部分もあるにはあるが
丸っきりその為と言う訳でもないのだが
それは 今は内緒にしておくとしよう
言ったらきっと 怒られかねんからな
そう 杏寿郎は考えていた
「あげは、一つ言っておくが」
「どうしましたか?」
「俺も男だ。そう言った感情が
ない訳ではないぞ?俺の言葉を全く疑わずに、
鵜呑みにして、信じすぎるのは良くない」
任せろと言っておいて
信じすぎるなと言われて
この人は私に どうして欲しいのか?
あげはが何も返事を返して来なかったので
「本音と建て前は違うと言ってるんだが?」
と念を押すかのように言われてしまって
「私は、信じたらいいんですか?
それとも、疑ったらいいんですか?」
と困ったような顔をして言われてしまって
「うむ、弱った。
……只でさえ、君は隙が多いからな」
隙が多いとまた 言われてしまった
黙り込んでしまったあげはの頭に
ポンと杏寿郎が手を添えて撫でる
「まぁ、君のそんな
真っすぐで、竹を割ったような性分は
俺は気に入ってるがな!」
そう言っていつもの様に
はははははっと大きな声で笑った
「え?でも…それじゃダメって今、
言ってませんでしたか?」
「俺が言いたいのは、信頼をしてもいいが、
信用はし過ぎるなと言う事だが?」
「信用のない相手を、信頼できるんですか?」
彼の言葉に矛盾を感じてか
あげはがそう返した
両肩に手を添えられて
じっと見つめられる
「あまり俺を信用し過ぎると、
俺に……食われるぞ?」
そう言って
悪戯っぽい笑みを浮かべて笑った