第11章 バラと琥珀糖
「気が…付きませんでした…」
「そうか、もう受け取ったんなら、
それも受け取ったと言う事だぞ?」
あげはの手からバラを取ると
花の根元にはまってた指輪を取り外して
あげはの左手を恭しく取ると
薬指に指輪をはめた
「うむ。ピッタリだな!」
「サイズは合ってますが…」
「気に入らなかったか?」
大きめのダイヤの両サイドに
少し小さめのダイヤと
その隣にピンクの更に小さな
ダイヤのあしらわれたデザインだ
この人の性格なら
めっちゃ大きなダイヤが
ドーンとしてるのとか選びそうだけど
随分と控えめなようにある
「これ、ご自身でお選びに?」
「ああ、君に似合いそうだと思ったからな。
これで、名実共に君は俺の、婚約者と
言う事になるな!」
確かにこれを私が付けて居れば
婚約者がいますと言う証になるし
口約束よりも
より強い約束をしていると言う
意味になる
大きなバラの花束の香りを楽しんでいる
あげはの横顔を眺めていた
「君に、赤いバラは似合うな。
108本のバラより…、俺には君が…」
思わず良からぬ事を恥ずかしげもなく
言う口を手で塞いでしまった
ニヤニヤと杏寿郎が
企みのある笑みを浮かべて
「まだ、言っていないぞ?あげは」
「だって、また…言うおつもりだったのでは?」
「あげは」
「何ですか?杏寿郎さん」
「君は、可愛いな」
「また、そんな事を言って」
「あげは」
「今度は、何ですかぁーんっ!?」
不意打ちで口を塞がれて
そのまま深い口付けをされる
今までで一番熱くて…激しくて
息が出来なくて
頭がクラクラと回りそうで
「んっ…ふぅ、ん゛、…は、んぅ…」
「あげは…君は可愛いな」
杏寿郎の手が逃さないと言いたげに
あげはの両手首を掴んで掴まれた手に
力が込められてるのが分かった
惜しむ様にして
絡めていた舌を解放すると
そのまま左の耳の縁にそう様にして
口付けを落として行く
ビリビリとして甘い痺れが走って
ゾクゾクと背筋が泡立つ
「やっん、…あっ、んっ…」
今まで耳で声を漏らした事がない
あげはが声を漏らしていたので
そのまま耳たぶを唇で挟んではむと
舌でその辺縁をなぞって
耳たぶの根元へと這わす
「あげは…、いいのか?…」