第82章 集いし 炎屋敷
「あげはさんは、薬の相乗効果を
ご存じでしょう?これはあの…
先にお渡ししていた薬の作用を
助ける作用のある薬になります…
あの薬単体よりも、同時投与によって
効果を強める事ができますので…。これを」
あげはが自分の手の中の
その小さな小瓶を見つめると
しのぶの言葉にウンと首を縦に振った
「では、私は…これと同じ物を
あそこで羊羹をずっと食べている
あちらの人にもお渡しして来ますので」
そう言ってあげはと炭治郎に
しのぶが頭を小さく下げると
そのまま広間の隅っこで
もぐもぐと羊羹をチビチビと食べている
義勇の方へと近づいて行く
「どうだ?竈門少年。食べているか?
…今の内に遠慮せずに、
沢山食べて置くと良いぞ。
あげは、ちょっと良いか?
俺と一緒に来てくれ。千寿郎が
俺とあげはに渡したい物があるそうだ」
そうだ… 千寿郎君
私と杏寿郎に渡したい物があるって
槇寿郎様から預かって来てるって言ってた
広間の世話は工藤さんや春日さんに
望月さんも居るから心配は要らないから
そのまま大広間から出ると
千寿郎君と一緒に炎屋敷を移動して
中庭に…近い飛び出た場所にある
屋敷の端に位置する
普段は使って居ない 和室へと移動する
この和室からは 人が集まっている
大広間は遠いから ざわざわした
感じからも離れる事が出来るし
ゆっくりと…話も出来るだろう
「すまなかったな、千寿郎。
折角、わざわざ足を運んで貰って置いて。
要件を聞くのが遅くなってしまったな」
「いえ、こちらが…勝手に
今日がお忙しいのを承知の上で
お伺いをしたのですから。
兄上も姉上も…お気になさらず…。
僕ッ…っと、私の…要件と言いますのは…。
こちらを…兄上と姉上にお渡しする様にと
父である煉獄槇寿郎より預かて参りました」