第82章 集いし 炎屋敷
「ええ、ですから…。
召し上がって貰えませんか?」
「うん、ありがとう、しのぶちゃん」
いいえとしのぶが首を
否定する様にして横に振る
「このお弁当のお礼は、
あげはねえさんの口から…お願いしますね?」
そのしのぶの言葉の意味を察して
うんと…あげはが自分の首を縦に振った
自分の手にある お弁当の重みを
あげはは感じながら
じんわりと…自分の胸の奥が
熱くなって来るのを感じて居た
広間の方から善逸が呼んでいる声がして
皆でお茶を飲むと言っていたのを
すっかり忘れていた
炎屋敷の使用人である工藤も
お茶菓子を用意していたので
ちょっとした…パーティー会場になっている
「これは…凄いですね、
お菓子…がこんなに…」
炭治郎がそのお菓子の量に
驚いた感じにそう漏らすが
ここには甘露寺蜜璃と
煉獄杏寿郎が居るのだから
沢山あるからと…言って
多すぎると言う事も無いのかも知れない
「オイっ、権三郎!
お前もこっちに来て、食えよッ」
既に口に一杯にして
リスの頬袋の様になりながらも
お菓子を貪り食べている伊之助が
立ったままでいた炭治郎に声を掛けて来て
「炭治郎さんも…どうぞ…」
春日が空いている場所にある
座布団を炭治郎に勧めて来て
ありがたくそこに座らせて貰った
大広間はかなりの広さがあるが
これだけの人数が集まれば
あまり…広さを感じないな…と
炭治郎がそう思いながら
広間の様子を見渡していると
甘露寺さんはもう…凄い勢いで
煉獄さんとお茶菓子を平らげていて
宇髄さんは縁側に座って
不死川さんと…お酒を飲んでいる様だった
まぁ…今から飲んで 酔いつぶれたりは
柱の人だし…しないだろうけど
冨岡さんは冨岡さんで
部屋の隅にちょこんと正座しながら
もくもくと羊羹を食べていた