第82章 集いし 炎屋敷
「よぉ、千寿郎。
あの結納の時以来だな?
ちょっとは、デカくなったか?」
「いえ…いくら…成長期とは言え…
そんな数日で、流石に
大きくなったりは…しませんよ…」
「ん、あそこ…竈門達も、
…同じぐらいになりそうだな…」
通りを歩いているしのぶと
炭治郎 善逸 伊之助の姿が見えて
そう宇髄が漏らすようにして言った
外から大きな声で甘露寺が
竈門や胡蝶を呼んでいる声が聞こえていたので
どうやら炭治郎達に後から来た
甘露寺が合流した様だった
「ぞくぞくと…順調に、
今日の面子は炎屋敷に向けて、
集まって来てるみてぇだな…。
っと…そう言えば…千寿郎は…
煉獄に何か用事でもあって行く感じ?
今日は…特別な…日だからな…。
日が暮れる前には…出来るだけ…離れてくれよ?」
宇髄は…煉獄の住まいである
炎屋敷が近付くにつれて
その音が静か過ぎる事に気が付いた
「何だ…?音が静か過ぎる…」
宇髄が耳に意識を集中させる
音らしい音が……しない…?
街が…丸々一つ…
すっからかんになってやがるのか
お館様が…隠を使って…
今夜の戦いに備えて
前もって…この地域に住んでいる
住人達を避難させている…のか
この辺り 一帯の人の気配がまるでない
まぁ 相手はあの…三上透真だ
街ごと 1つ 綺麗さっぱり
ぶっ飛ばして更地にしても…違和感はねぇ
「あの…、宇髄さん…っ
どうかなさいましたか?」
「いや、何でもねぇよ。千寿郎…」
「っと…あんな所に…
珍しい組み合わせもあるもんだな…」
珍しい組み合わせと宇髄が言って
千寿郎がその視線の先を辿ると
そこには肩を並べて歩く
水柱である冨岡義勇と
同じく風柱である不死川 実弥の姿があった