第81章 その琥珀糖はまるで
元々の全身の
異常なまでの柔軟性と筋力が
伊之助君にはあるのだから
その柔軟性をゴムの様にしてしならせて
恵まれている筋力で押し出せば…
瞬間的に…もっと…彼は…速さと強さを
両立させた動きが…可能になるはず…
そう…私の踏んでいた通り…でしたね…
「流石…、伊之助君ですね…。
さぁ、もっと…早く走らないと…私に
置いて行かれてしまいますよ~」
「オイっ、しのぶッ…」
「そんな大きな声を出さなくても
聞こえてますよ~、何ですか?伊之助君」
「何も言わずに来て良かったのかよっ!」
ふふふふ…しのぶが
伊之助の言葉に妖艶な笑みを浮かべて
「それなら、心配はいりませんよ~。
艶に…言伝をお願いしてありますので…。
伊之助君と走り込みの
訓練をして来ます…とね?
だって、今から…
アオイへのお礼を買う事は
内緒にして置きたいですし…。
その方が、私も、楽しみが
増えますからね~楽しみ楽しみ」
そのまましばらく…屋根の上を走ると
目的地であるとある
宿場町の大通りに辿り着いた
「さ、ここからは…
普通に通りを歩きましょうか?
突然屋根の上から、
お店にお邪魔するわけにも行きませんし…」
そんなに大きな店ではないが
その小間物屋は若いアオイぐらいの年齢の
女の子達でいつも溢れているから
しのぶも…何度か立ち寄った時に
蝶屋敷の…面々への
お土産を購入した事があるお店だ
「何に…しますか?
貝紅…でも良いですし。
匂い袋も良いですね。
練り香水も…良いでしょうし…。
可愛らしい箱に入った
金平糖や飴も良いですね…」
「ぬはははっ!
これに決めたぜ、これだ」
沢山の商品が並んでいて
しのぶも目移りしてしまって居たのに
伊之助はその沢山の
可愛らしい小物の中から
何かを手に取って
それを手の上に乗せてしのぶに見せて来る