第81章 その琥珀糖はまるで
カナエの墓参りから…
蝶屋敷に戻った事を…しのぶが
屋敷の皆に声を掛けようかと…
台所の方にまで足を運んで来たのだが
アオイと伊之助のそんな
やり取りを目撃してしまって
あらあらと思いながらも…
微笑ましく思って居ると
あまりまじまじと見てしまっては
出歯亀になってしまっても
ならないと思ってしまい
しのぶがその場をそっと離れた
自分の為に用意して貰った
つまみ食いセットを平らげた伊之助が
台所から出て来て
視線が…合ってしまって
何故か…別に疚しい事は無いのだが
しのぶの方が悪い事をしていた様な
そんな気分になって居ると
「なぁ、しのぶッ」
「はい、何でしょうか?伊之助君」
「アオコは…何やったら喜ぶ?
ツヤツヤのどんぐりも
ピカピカの丸い小石も要らねえんだろ?」
「それは…伊之助君は…、
アオイにお礼をしたいって事で良いですか?」
「まぁな!俺は出来る親分だからな。
飯を食わせて貰った礼はするもんだろっ!」
まだ 何もしてないのだが
えっへんと偉そうにふんぞり返って居る
伊之助のその姿を見ていると
やっぱり…微笑ましいと思ってしまう
「そうですねぇ、もうそろそろお店も
営業をし始める時間になりますし。
若い女の子に人気の、
小間物屋を知って居ますので…
そちらに…行きましょうか?伊之助君」
「しのぶが…一緒に来てくれんのか?」
「ええ、その…まだ…あちらへの
集合の時間には早いですし…。
それ位の時間はありますので…、
さあ、伊之助君、行きましょう」
蝶屋敷からは
少し距離がある場所になるが
近い場所にある小間物屋では…
アオイもお使いのついでに
立ち寄ってるかも知れないので
敢えて離れている方に
しのぶはしないかと提案した