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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第80章 それぞれの前夜



そう言って包みを持って帰ってしまって
座っていた場所に置かれていたお勘定が
計算するまでもなく多すぎる支払いだったので

そのお金を握りしめて
不死川の後をいすゞが慌てて追うが

もう…街道の下り坂を
あんな所まで行ってしまっていて

『不死川様ぁああ~~!!
お支払いが多すぎます!!!』

「んじゃ、また、
次に来た時、その分サービスしてくれや」

ヒラヒラと足を止める事なく不死川は
そう言って手だけ振るとそのまま行ってしまった

その後ろ姿にいすゞが深く頭を下げると


『はい…、またの不死川様の
お起し…を、いすゞはお待ちしております…』


そのいすゞの様子を…少し離れた場所から
いすゞの母親が見ていて 
はぁ~っとため息を付いた

『全く…あの子は、
まぁ凝りもせずに仕方のない子だねぇ…』

『ん?何、言ってんだかあちゃん。
うちのいすゞは、三国一可愛い子に決まってらぁ』

『誰に似たんだか…、
惚れポイ子…になっちまってぇ…。
それも…、自分に好意を寄せてない男に
ホイホイ惚れちまう性分してんだねぇ…あの子。
まぁ、あっちの鬼狩りの兄さんには…
良い人は居なさそうだし…、
いいんじゃないかい?』

『俺ァ、…さっきの鬼狩り様じゃなくてぇ。
豊島さんの息子さんとの
縁談話を…受けて欲しいんだが。
いすゞはあっちの呉服屋に嫁入りしねぇで。
この店を…出たくないと
…ごてちまったしなぁ…。
俺ァ、いすゞなら…、
呉服屋の奥さんも務まるって
太鼓版押せんだけどなぁ~』

今度は父親の方がはぁ~とため息をついた

『父さん、もうその豊島さんの所の
縁談話は破綻になったでしょ?私はここで
団子屋の娘としての
使命を果たすって決めたの。
私は、鬼狩りにはなれないけど。
団子屋の看板娘なら出来るし、
こんな風に…そうしてる私を…
認めてくれる人もいるもん、でしょ?』

そう言ってにこっといすゞが笑顔になって

『なんだいなんだい、アンタも…
ちょっとは…あの姉さんみたいにいい女に
なって来たじゃねぇかぃ。私も、
アンタの母親として…鼻が高いってもんだよ…』



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