第10章 追憶 煉獄家にて
その報せを受けて
患者の家族が駆けつけると
あまつさえ
一年に一度も面会に来る事もなく
それでいて 手紙の一つもよこさなかった
患者の家族達が
私がそこにいた数年で
一度も顔を見た事もない
家族さえもいたのに
大勢で私を取り囲んで
一方的に責め立てた
暴言 罵倒 最初はそうだったが
それはその内 私刑に変わって行って
大の大人が
まだ小さな子供を寄ってたかって
卑劣極まりない…
弱い者を皆で 責め立てるなど…
「杏寿郎さん…、大丈夫ですから」
俺が憤りを感じているのを察してか
あげはがキュッと俺の手を握った
痛みと恐怖と
気を失っては水を掛けられて起こされて
このまま 自分も死ぬのかなと思った
でも みんなと同じ場所へ行けるのなら
それも
「それも…良いなぁって、思ってたんですよ?
でもね、…悔しかった。あの人は、彼は…私に
生きて欲しいって、言ってくれたのに…」
彼の家族は私に
“お前が 死ねば良かったのに!!”と言った
「その後の事は、
気を失っていたので憶えて居ませんが」
血の匂いが満ちていた上に
夜が来たので鬼が現れて
「患者の家族の多くは、
殺されたのだと聞きました…」
「聞いた?」
彼女は気を失って居たのに?
誰が彼女にそれを教えたのか?
鬼から救った人物がいたはずだ
「その時に、私を救ってくれたのが。
鬼殺隊の隊士だった」
「三上 透真…と言うわけか…」
「彼が私を救ってくれた時には、
私は意識はありませんでしたが。
すでに…その場にいた数名に…
蹂躙されていたようでして…」
ギュッと痛いほどの力で
抱きしめられてしまった
「大丈夫ですよ。憶えてませんから…」
「無抵抗の者に…大勢で…、など、
許せる物ではない!俺が、その男達を…
斬り伏せてやりたい所だが…」
「それは、人殺しになるからダメですよ。
でも、鬼が出たので、そこに居合わせた人は
死んでしまった様ですけど」
彼女は気を失ってたんだ
透真殿の話に寄るだけの物
「俺が、その場に居合わせたのなら…、
鬼の仕業にして、皆殺しにしたかも…
知れんがな」
「杏寿郎さん…、殺気出てますよ。
大丈夫ですよ、昔の事ですし…、
今はそうした相手も居ませんから」