第80章 それぞれの前夜
『んで、その
スポーツ心臓とやらは、何なんだァ?』
『スポーツ心臓と言うのは、
長時間激しい運動をした結果、
通常より心臓その物が大きくなったり、
心臓の壁が厚く肥大した心臓の事を
スポーツ心臓と
こちらの界隈では呼んでいます。
元はと言うと、有酸素運動を行う
運動選手にこの様な心臓の変化が、
沢山見られたことから
名づけられた物になりますが。
その同じ変化が、我々鬼殺隊の
隊士の身体にも見られます。
スポーツ心臓は、体が過度の
負荷環境に適応した結果なのです』
しのぶのその説明を聞いて
不死川が心臓がでかくなりゃそれで
良いだろうと思って
適当に説明を聞き流していると
『通常…、成人の心拍数は
安静時で60~90回程度。
スポーツ心臓と呼ばれてる方の
心拍数は45回程度だと
そう言われています。心臓は筋肉ですので、
壁が分厚くなって筋肉が発達すれば
1回の拍動でより多くの血液を
勢い良く全身に送り出せます。
心臓自体が大きくなれば、
その分内部の部屋の中に
多くの血液を内蔵出来ますから。
実質に拍出量を増やせるのです。
先程の不死川さんの
レントゲンがこちらです。
入隊時に撮影した物と比較して貰えれば…
その差は一目瞭然かと…』
そう言ってしのぶが
シャーカステンにセットされた
2枚のレントゲンの画像を
不死川に見比べる様に言って来て
明らかに心臓が大きくなっているのが
素人の不死川の目にも見て取る事が出来た
わざわざ古い俺が鬼殺隊に
入隊した頃のレントゲンまで引っ張り出して
こんな話をする為にコイツが
わざわざ俺を呼んだとは思えねェ
『そんな怖い顔を
なさらなくても構いませんよ。
不死川さん、あげはさんの
使って居る二段呼吸と言う物は
簡単に言ってしまえば、
取り込む酸素を圧縮する方法です。
イメージとしては、
常中の先の段階の呼吸です。
良いですか?不死川さん。風船の中に
一度の大量の空気を入れたらどうなりますか?』