第80章 それぞれの前夜
胡蝶からは…普段は…呼吸を使って
心拍数をギリギリまで抑えて
制限しろと言われてる
俺にはそれが何の意味があるのか
さっぱり分からないが…
人間の心臓が拍動出来る回数には上限があるらしい
あげはの使ってる
あの呼吸は心拍数を急激に増やすから
心臓に負担がかかるんだとよぉ
その分を補う貯金を…
普段からして置けと言う意味らしいが
俺は元より…失う物なんて…あってねぇ様なもんだァ
鬼と戦って死ぬんなら
今日死のうが 明日死のうが…
それは…俺にとっちゃぁ 本望ってもんだしなァ
俺達の心臓は…胡蝶が言うには
スポーツ心臓だかいう奴になってるのだそうだ
ーー
ーー
ーー
『いいですか?不死川さん。
私達、鬼殺隊は全集中の呼吸を使いますよね?
全集中呼吸と言うのは、胸郭を大きく広げて、
そうですね言い方を変えれば、
肺を大きく拡張させて。
血液中に大量の酸素を取り込む事で、
全身への酸素供給を高めて
身体能力を向上させる物です。
そして、我々柱は常にそれをしている状態。
要するに、全集中の常中にあります。
これは心臓や全身の循環器に
負担を掛け続けている状態なのです。
この状態を…続ける事で…
心臓が変化して行くんですよ』
『それが…どうなんだァ?
んな事ァ、俺ァどうでもいい。関係ねぇよ』
ふふふとしのぶが聴診器をその手に持って
不敵な笑みを不死川に向けて見せて来て
『いいえ、その常中が…
私達の身体に起こしてる変化こそが。
スポーツ心臓なのです。あくまでも
私の持論にはなりますが、常中を続ける事で
心肺に24時間負荷をかけ続ける事による、
肉体改造こそが、全集中の常中なのです』
聞き慣れない スポーツ心臓と言う言葉に
不死川がその顔を顰める