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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第80章 それぞれの前夜



「初めて…アイツとあった時…の、
アイツは…お前より…小さかったか…。
あんなちんちくりんの、チビ助が…
また…随分と、大きく…成長して化けやがった…。
俺後を付いて来て、見上げていたアイツが…、
俺が…下を向いてる間に、随分と遠くに
知らない内に行っちまって…。
今となっては、俺が…アイツを見上げる方だ」

ぎゅっと千寿郎が槇寿郎の手を握って来て

「そんな事はありませんっ!
姉上は、私からも、父上からも
遠い場所になど、居られませんし、
行かれたりもなさいませんので。
それに…、姉上が兄上とご結婚なされたら、
一緒に、…ここで…
住む話にありましたよ?父上。
兄上と姉上のお子は、屋敷の皆で
見ると仰ったのは父上ですから」

「そうだな、千寿郎。
ここは俺とお前の家だし、
杏寿郎の家でもある。
杏寿郎とアイツがそうなれば、
アイツの…あげはの、…家にもなる」

「いつお戻りになられても良い様、
我々も…離れの掃除も…
させて頂いておりますので」

「そうだな、待つか…。
杏寿郎とあげはが戻るのを…」

「はい、待ちましょう。
我々は家族にありますから」


そのまま…槇寿郎が廊下を歩き始めて

仏間の方へと向かう後姿を千寿郎は見送った

父上もきっと…母上とふたりだけで

お話…されたい事があるだろうから…と


うんと千寿郎が頷くと
台所に向かった望月の後を追いかけて
お茶を淹れる手伝いをしに行く事にした


槇寿郎が仏間の仏壇の前の腰を降ろすと

毎朝 望月がここも掃除をしてくれていたが

俺がすると自分の朝の習慣にする事にした

屋敷の掃除など…全くした事のない俺が

仏壇の掃除を毎日してる姿を見て

君は…どんな顔をするだろうか…とか

そんな事を頭の隅で考えながら

仏壇に供えられている

あげはが瑠火にと…置いて帰った

桔梗の柄のビードロに視線を向ける


ごそごそと自分の袖に入れていた物を
槇寿郎が取り出すと

その桔梗の柄のビードロの隣に
ガラスで出来たビードロと

よく似た形をしている

風鈴を槇寿郎が静かに置いた

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