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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第80章 それぞれの前夜



自分が足をここに置いていたせいで

知らぬ内にわざとではないが

アリの列の邪魔をしてしまった様で

縁側の腰を掛けていた場所を

槇寿郎は20センチほど右へ移動する



「アイツは…もう、
自分の庵に戻った頃だろうか…」


葛葉がこの屋敷を出てから

1刻ほど…経っただろうか…


このまま…葛葉を屋敷にもう1日

留めて置けば良かったと

槇寿郎は後悔していた


虚勢を張る事は 昔から得意な女だ…

昨日は俺を気に掛けて
屋敷を訪れてくれたのだろうが

素直ではないし 可愛げは欠片にもないし

オマケに 口は悪いし あの態度だしな

黙って口を閉じてさえ 居てくれさえすれば

道行く人は男も女も問わずに

振り返るだけの美貌の持ち主だが…

如何せん 中身が…な…

酒はザルだし 割と遊女をしていただけあって

あっち絡みの冗談めいた軽口ばかり言うし


たまに酔えば酒癖はかなり悪いが


…性根は優しい女ではある


葛葉がそんな性分をしてるのは…

アイツが10代の頃から知ってるのだから

俺は…良く理解をしてる…つもりだ…

俺がアイツを理解してる様に

アイツも俺を理解してくれているから

気まぐれの様にしてふらふらと

山の庵から降りて来て 屋敷に来たのだろうが


色々とあの手この手を尽くして

満月の夜が終わるまで

アイツをこの屋敷に留めさせようとしたが


あの…根無し草の様な女を

一所に留めるのは…無理難題過ぎたか…


「いよいよ…明日が…満月か…」


腰を降ろしていた縁側から
槇寿郎が立ちあがると
ある事を思いついて自室へ向かった

来ていた着物を槇寿郎が脱ぐと
少し小綺麗な着流しに着替えて部屋を出る

廊下を玄関へ向かって槇寿郎が歩いていると

向こう側から歩いて来る望月とすれ違った


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