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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第80章 それぞれの前夜



「いや、お前…も
そんな顔して…笑うんだな…と
そんな風に…、思った…んだわ」

ムッと義勇がその宇髄の言葉に顔を顰めて


「悪いか?」

「悪かねぇよ。飲め」

「ああ、すまんな…宇髄」

宇髄が空になって居る
冨岡の手のグラスにお代わりの酒を
トクトクと注いでいると
冨岡がそう声を掛けて来て

「何だ?冨岡…
どうかした感じだったりすんの?」

「すまなかったな、宇髄。感謝してる」

「ああ。また来い。一緒に飯食って酒飲んで
お前は喋らねぇけど、アイツ等もお前の事
気に入ってる…、みたいだからな…。
お前が…俺の嫁になんかする心配もねぇし、
朴念仁みたいなもんだしな…、そうだな…
これが済んだら、一緒に温泉でも行くか…」

「温泉?俺が…お前等とか?」

「ああ、俺の趣味…
みてぇなもんなんだわ。
日本全国の秘湯巡り…な、
いいもんだぞ?温泉は」

「そうか、…考えて置く」

「ああ、そうしてやってくれ」




ーーー
ーー




同日…煉獄家



自分の屋敷の庭の見える縁側に座って

槇寿郎はぼんやりと中庭を眺めていた

まだ…杏寿郎と千寿郎が幼い頃に…

この屋敷で2人に稽古を付けたりもしたか…

もう…それが随分と…昔の事の様に感じる

俺が…杏寿郎と千寿郎に稽古をつけて居たら

炊事をしていたはずの瑠火が…

いつの間にか…離れた場所から見守っていて

”『そろそろ、休憩になさいませんか?』”と

声を掛けて…手拭いと
冷茶を用意してくれたりしたな


「それも…随分と…昔の様に感じるな…」


ふぅ――と槇寿郎が

庭を眺めていた視線を

自分の足元の地面に落とすと

アリが列を作って…
虫の死骸を運んでいるのが見えた


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