第80章 それぞれの前夜
そして…私は…二人の姉さん達に…
生きて…欲しいと望んで貰ってるって
それも…ちゃんと…分かってる…つもりだけど
「でも…、死なないで…欲しい…ッ」
素直過ぎる程に素直な言葉が…
カナヲの口を付いて出て来ていた
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同刻… 音柱邸
ムニュ…っと何か分からないが
柔らかい物が…自分の頬に触れるのを
義勇は感じて目を覚ました
ここは…どこだ?
俺は…眠っていたのか…?
それに…さっきから自分の頬に当たっている
この柔らかい…ムニムニとしたこれは…何だ?
「ん…、何だ…?これ…は…」
その自分の頬に触れている
柔らかい物が何なのかを確かめるべく
義勇は無意識にそれに手を伸ばしていて
もにゅもにゅとそれを自分の手で揉みしだいた
なんだ…これは?
まるでつき立ての餅か何かの様な
そんな柔らかいのに弾力のある…何かだった
『んっ、あんッ、もぉ~、ダメですよぉ~、
んん、天元さまぁ…のえっちぃ…』
その声には 義勇は聞き覚えがあって
ぼんやりとしていた意識がはっきりとして
一瞬で眠気は吹き飛んだのだが
ガバッと義勇が身体を起こすと
左隣には宇髄の妻のひとりの須磨が
すやすやと寝息を立てて眠っていて
思いっきり…その乳房を寝ぼけていたとは言え
揉みしだいてしまっていた…様だった
『んん~、うるさい…よぉ…、
須磨ぁ…、静かにしなぁ、すぅ…すぅ…』
そう反対側から声が聞こえて
義勇がその声の方に目を向けると
自分の右隣には空になった一升瓶を
抱えたまま眠って居るまきをの姿があった
須磨の声に反応したようだが
まきをの方も酒を飲んで
良く眠っている様だった