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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第78章 待宵月が見下ろすは…罪



葛葉が千寿郎の顔を両手で挟んで
その顔をまじまじと見つめる

その手を…振り払う事も
その視線から目を逸らす事も…

何か…目に見えない力で
縫い付けられたみたいに
千寿郎は自分の身体を
動かす事が出来なくなってしまう

槇寿郎が千寿郎の顔から葛葉の手を
ガシッと掴んで 強制的にその手を
千寿郎から引き剥がす様に離させると


「葛葉、止めて置け。
俺の息子が困ってる。絡み酒は醜いぞ。
どうした?葛葉、お前らしくもない。
お前は…、ザルだが…飲まれ過ぎだ。
突然に酔って落ちるだろう?これ位で…」

「お前が出したんだろう?まだ飲める…」

「人の話を…聞け。
酒はこれ位にして、
お前は、水でも、一度、飲め…」


ちらっと槇寿郎が千寿郎の顔を見て来て


「で、でしたら、私が
…水を用意して参りますのでッ」

そのままここに居たら危険だから
逃げろと言う意味だと察して
水を取りに行くと言って応接間を後にした


「槇寿郎。お前は…、人に酒を飲めと
勧めて置いて…飲まないのか?
客に一人酒をさせるつもり…なのか?
酷い男だな…、お前は」

「悪いが、葛葉。人の手紙を無視する、
酷い女が何を言うか…、減らず口を減らせ。
そしたら、ありもしない可愛気もでるかもな。
それに…だ、あげはに酒は…
飲むのを、禁止されてるからな。
まぁ…その、ほどほど程度…には、
いいとは言われているが…」

「なら、お前も…飲め…槇寿郎…」

そう言って酒器に残っていた酒を
空いていたぐい飲みに注ぐと
葛葉が槇寿郎に勧めて来て

「…お前は…、わざわざ山を降りて
俺に酒を飲ませに来たのか…?葛葉…」

大量の酒を飲んで酔っている様子もあるが
その葛葉の顔はどことなく冴えない

俺が夜明け前から
望月に心配を掛けながらも
稽古を止められなかったのと
葛葉のこれも同じ理由なのだろうと


そうでもしなければ

弱音をあまり漏らす事のない

この強情が服を着て歩いている様な

この葛葉と言う女が


酔えもしない酒を飲みたいとは…言うまいし


ましてや… 


俺にも…一緒に

飲めとは言いもしないだろうしな


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