第78章 待宵月が見下ろすは…罪
杏寿郎…には…
あの無限列車での任務の後に
あげはがうちの屋敷に
杏寿郎の付き添いと言う名目で
しばらくの間泊まる事になった
その翌日の朝に…
朝食は皆で食べましょうと言われて
早朝の夜も空ける前の時間に
俺の部屋に忍び込むのではなくて
スパアァアァンと屋敷に響く程の
大きな音を立てて襖を開いて
朝の挨拶と共に俺の部屋に
許可をする前にズカズカと入って来た挙句に
布団の中に居た俺を
問答無用に布団から引っ張り出し
俺の身なりを整えようとしたあげは…に
まだ覚醒仕切っておらず
敵襲か何かなのかと俺も抵抗をして…
お互いに全く譲らなかった攻防の末に
揉みくちゃになって
くんずほぐれつしながらに…
早朝から…色々な物を使い果たしてしまって
抵抗する意思毎削がれる程に
どんな目に遭ったのか…は…
口が裂けても…あの息子には言うまいと
槇寿郎はあの朝の記憶を
封印する事にしたのだったが
あの俺と自分との…間柄で
俺が…アイツを杏寿郎と歳が近かったのもあって
自分の娘の様に接していたからなのか
俺の対する…遠慮と言う物が
アイツには無さ過ぎる…し
あの頃の…ままの様な…感覚で
接して来られるのは……な
あの頃のチビ助の姿まだまだしも…
今のあげはは立派に
成人した女性でしか…ない…からな
「それは…、大丈夫です!
父上…。我らには、こちらがあります」
その千寿郎の声に
槇寿郎はハッと現実に引き戻されて
「あの、父上?」
俺が返事を返さなかったからか
こちらを不思議そうに見ている
千寿郎に視線を向けると
「ですから、我々には
こちらが御座います。父上」
その手に持つ花束を
千寿郎がこちらに見せて来て
俺は花なんて何がいいやら
さっぱりわからないので
千寿郎と花屋に任せて
墓前に供える花を買ったが
「女性には、花を贈ればいいと…。
前に、屋敷にお越しになられた時に、
音柱様が言っておられましたので」