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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第78章 待宵月が見下ろすは…罪



もう朝餉を摂るにしては
遅すぎる程に遅い時間だったのに…
息子の千寿郎は俺を気にして
まだ食事をして居なかった様だった


「千寿郎…、もしや、俺がまだ朝餉を
済まして居なかったから。
お前も、食べずに俺を…待っていたのか…。
なぁ、千寿郎…。これを食べたら…、
そうだ、散歩に付き合え…。
そうだな…、散歩のついでに
瑠火の顔でも見に行こう…」

槇寿郎のその言葉に
ピシっと千寿郎が自分の背筋を伸ばして
一度手にしていた茶碗と箸を膳の上に置くと

「勿論にあります。父上っ!
この千寿郎、喜んで
父上の、お供させて頂きますッ!」

しっかりとした落ち着いた子…と言うのが
俺の千寿郎に対する印象だった
だが…それは俺が見ている様で
千寿郎を見れて居なかったのだと

こうして 目を輝かせながら
コロコロと豊かな表情を見せ
る千寿郎の姿を見ていると

年相応の自然な姿に見える

無理を…させてしまって居た…な

千寿郎には

俺が変わらなければ気付く事も無かったのだろう

こんな表情をする千寿郎の姿を

あのまま…変わる事がなければ

俺は見る事も無かったのだろう


あげはが言ったんだ…あの時の俺に

俺に他の誰にも果たすことが出来ない

杏寿郎と千寿郎の父親としての役目を果たせと


俺は…思えば逃げてばかりだった


炎柱としても役目からも

鬼殺隊としての役目からも

父としての役目からも…逃げて目を逸らして

背中を向けてしまっていた


子育てらしい事もせずに…

俺の手も必要とせずに

勝手に育ったかのように思って居た

世話は杏寿郎が寄こした使用人達がして居たから


だから 知らなったんだ


俺の子でありながらに


千寿郎が…こんな風な表情をするのだとか

穏やかな人当たりでありながらに

意外と頑固者だったりだとか…

そんな所が… 

千寿郎は瑠火に良く似ているだとか…

だが… 瑠火に似ているだけでなく…


杏寿郎にも…


この頃は 似て来た様にも感じんでもない…




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