第78章 待宵月が見下ろすは…罪
産屋敷との謁見を済ませて
屋敷を後にすると
数匹の鴉に案内されつつ
知った場所までの案内を受ける
お館様のお住まいは
…厳重に隠されている
柱である者ですら
その正確な場所を知る事はない
お館様は…柱の中で唯一…
透真だけが…
この場所を知っているのだと
まるでついでの話の様に
私に向かって話をなさったが…
その事実は紛れもなくに
お館様の全幅の信頼を彼が得ていたとの
想像には足りるが
彼がそれを知っている
その事実がありながらに
今のお住まいをお移しになられない理由も
方鍛冶の里の場所をお移しになられない理由も
そこに理由を付けるのであれば…
それは…今も…透真が…あいつが
鬼殺隊の柱としての役目を…
果たし続けているから…と言う意味からなのか?
どうにも…そう考えてみても
違和感が拭いきれない…のだが…
「……透真…、私はお前を…導けているか?
今も、お前の…、師で在れているか?」
透真…お前は…何を…お館様に話したのだ?
お前の…真の望みは…何なんだ?
お前は…何を…感じてる?考えている?
色々と思考を巡らせていても
これと言う明確な答えには突き当らない
だが…これほどまでに…恐ろしい事はない…
いや…待て そうじゃないのか?
お館様は全てご存じにあられるからか…?
三上透真が…完全に鬼に落ちれば
このお館様の屋敷の場所を
刀鍛冶の里の場所を
知っていようが知っていまいが
内部を知り過ぎている彼…が鬼に成れば
この鬼殺隊…その物の存続も難しいとは…
お館様も…お気付きなのだろう…
それを知りながらも…なおも
誰しもが…お前を捨てきれずに
時を止めてしまって居る
透真…よ
お前と言う子はどうも罪作りの様だ
そして その4年前から止まった時を
動かす事が出来る
たった一人の人物が あげはであり
そのあげはを 動かす事が出来た
唯一の人間が
かつての炎柱 煉獄槇寿郎の倅の
煉獄杏寿郎…だと言う事…なのだろう