第78章 待宵月が見下ろすは…罪
『葛葉…、君は偉い子だよ…。
弱虫でも卑怯者でもない…。君は自分を
そう思うかも知れないね?だが…、
私はそうは思っては居ないよ?
葛葉、君が育ててくれた、透真とあげはは…。
今は、柱ではないかも知れない…ね。
だが…、その彼と彼女が
柱として築き上げた物は…ちゃんと
今の子達にも受け継がれている…からね。
葛葉…、今日、君をここに呼んだのは…ね。
会って欲しいと思う…子が居るからなんだ。
おいで、行冥。こちらへ』
そして 産屋敷は建物の陰の方へ
そう声を掛けて
中庭にいる葛葉の方へ 大柄の男が一人
こちらに頭を下げながら近づいて来て
その顔には見覚えがあった
『葛葉、彼は、岩柱である悲鳴嶼行冥だよ。
行冥には、今の柱の子達の
まとめ役をして貰ってるんだ』
『お初にお目にかかります、葛葉殿…。
私は、岩柱…悲鳴嶼行冥。
以後、お見知り置き頂きたく…』
その手の数珠を
ジャラジャラと擦り合わせながら
そうこちらに向かって言って来る
『悲鳴嶼行冥と言ったか…、お主のその面構え…。
どこかで見覚えがある…。私は、職業柄…
一度覚えた顔を…忘れる事は無い…のでな』
私はとっくに
鬼殺隊を退いた身ではあったが
彼の顔には見覚えがあった
まだ柱にはなって居なかったが
彼は…そうなるだろうと思って居たから
単なる カンでしか無かったが
『葛葉殿に…、
私の話を…聞いて頂きたく…あり。
お館様に無理を承知でお願いをし…、
お越しいただいたまで…にあります。
本来でありましたら、
こちらから出向くべきである物を、
ご足労願いまして、申し訳ございません』
そして 葛葉に向かって
悲鳴が深々と頭を下げると
そのまま下げた頭を戻そうとしなかったので
そのこちらに向けて下げた頭を
戻す様に葛葉が声を悲鳴に向かって掛ける
『お心遣い…痛み入ります…』
と礼を述べたまではいいが
その後の続く
沈黙…が重々しい…