第78章 待宵月が見下ろすは…罪
そう思う事で 私自身も…
その事実から目を背けただけに過ぎん
透真が行方不明になって 1年が過ぎた頃
あの宇髄とかと言う 音柱が私の庵を尋ねて来た
透真が行方をくらますより前に
透真からあげはを託されたと私に話をした
あの宇髄とか言う男は…
迷っているのだと話していた
いや その迷いが彼にあったからこそ
彼は私を探して 話をする為に
わざわざこんな山奥まで来たのだ
自身の柱の務めの間を縫ってまで
胡蝶の妹がそうした様にして
また彼も
あげはをその真実から遠ざけた
それは己の迷いがそうさせたのか…
はたまた
透真を元に戻したいと戻って欲しいと
思う 彼等の願いがそうさせたのか…
あげはを真実と向き合う事から遠ざけていた
私利であり 私情でしかない
身勝手だと…胡蝶の妹も
宇随と言う男も漏らしていたか
それを罪だと彼等が自分を責めるのであれば
それを知りながら黙認した 私も同罪だ
そして それは… お館様も同じ…事
『それに…、私以上に
葛藤を…抱き続け…て居たのは。
他にない、あげは自身にありましょう…ので。
あの…あげはの抱えていた葛藤に比べれば、
私の心中など、
たかだか底が知れた話にございます。
ですが。杏寿郎が…、
あげはを…前に進ませたのは事実。
私は…、槇寿郎の息子である彼に。
煉獄杏寿郎に、あげはと
あげはの未来を、を委ねるに他なりません』
『葛葉…、すまないね。
私は、酷い父親だと…思わないかい?
私は、葛葉。君が大事に天塩にかけて
育てた大切な子供達を…
私は、君から奪ってばかりだ…からね』