第78章 待宵月が見下ろすは…罪
私のその申し出を退けるだけではなく
私に対しての罪は 不問なのだとも
私にその罪を問うならば
その責任の一端は己にもあるのだからと
腹を先に引き裂くべきなのは己なのだろうと
その己には 私を罪に問う資格がないと仰られた
『葛葉…、君にとって彼は…、透真は。
育手としての君の
誇りだったに違いない…のに…。
葛葉、君には…、何も告げる事が
できぬままになってしまって居たからね。
辛い想いをこの4年間させたままだったね…』
産屋敷邸の中庭で白砂利の上に
葛葉はかしずいて頭を垂れたままで
お館様のお言葉を頂戴する
お館様がこの件を今まで
お知りにありながらに私に伝えなかったのは
あげはに先にこれを話すべきだと
お考えにあったからに違いない…
そして 今私にこの話をしていると言う事は
あげはがこの事実を…
知ったと言う事なのだろう
『いえ、それは…
お館様のお考えに寄ります事…。
その事実が…どうにあれ…、来るべき形で、
来るべき日を迎える事が出来るのであれば…。
私にはその事について、
とやかくにと問う事はかないませんでしょう。
お館様のお心使い、痛み入ります』
満月の夜……
あげはが透真と…相まみえる事になる
あの杏寿郎だけでなく多くの者が
その戦いへの参加の意思を表明していると聞いた
三上透真…と言う名の…
恐らくに… 最強…と言う名に
相応しい鬼との戦いに
あげはと杏寿郎以外の者も
己の名を連ねているのだと
今朝に出会った あの馬鹿弟子は
明後日にその戦いに望むとは思えない程に
普通過ぎるほどに普通だった
お館様が私にした話の内容を知っていて
その理由についても理解した上で…
その事実からも
現実からも目を逸らす事もせずに
受け止めていた…んだな… あげはは…
要らぬ…心配…だったか…私の