第78章 待宵月が見下ろすは…罪
日付は1年以上前の手紙だった
弟子を選別に送り出すか 迷った末に
到底 不可能な課題をその弟子に課したのだと
その心中を漏らした鱗滝からの手紙だ
「あった、この手紙だ…」
慌てて必要最低限の灯りしかまだ
灯して居なかったから
その灯した灯りの元にその手にした手紙の
文字が見えるように照らすと
カサッと…その中身の手紙を開いた
『ダイジョウブ…?』
鱗滝からの手紙をその手に持ったままで
固まってしまっていた私に
そう鳴門が声を掛けて来た
「すまんな…、鳴門…、全ては…
私が蒔いてしまった…災いの種だった様だ……」
『お前…ノ、所為ジャ無イ…』
「私が…、透真を…、あいつを…
育てさえしなければ…良かった…のか…?」
色んな考えが自分の中で渦巻く
『ソンナ事ハ…、無イ。
透真ハ、鬼殺隊…必要。
透真…居無イ、あげは居無イ』
「…ッ」
そうだ…
私の元へあげはを連れて来たのは透真だ
透真は 自分が居たから
あげはがこの道を
歩まされざるを得なくなった
自分が間に合わなかったから
あげはを傷物にした挙句に
彼女の居るべき
生きるべき 場所を奪ったのだと
そう透真は あの時の事を言っていたが
単に透真が到着した時には
時すでに遅しで
間に合わなかったのだろうと…位にしか…
その時の私も
捉えては居なかったから
それが何を意味していて
ここまでの物に育つかだなんて…
思いもよりもしなかった
思って居たら…どうだった…?
知っていたらどうだ?
私は…彼を 斬ったか?
危険因子だからと透真を斬れたか?
「鴉風情が…、
知ったような口を…と言いたいが。
お前が、一番の私の理解者なのは…、
不服であるが、私も、認める。
だがな、鳴門。お前は言葉を選べ。
よしよし、お前の嘴を…
グルグル巻きにしてやろう。
もう二度とお前が、
しょうもない事を言えない様にな」