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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第9章 療養編 煉獄家にて


実際 彼女が家に来て
強引な方法を使ってではあったが

父上から酒を取り上げて断酒させ
食事も毎食摂る様になり
あまつさえ 父上と一緒に酒を酌み交わし
あんな話までして… その上
お膳立てまで されてしまったのだから

それにしても 墓参りにしては
あげはの荷物はいささか多い気がした

「槇寿郎様、瑠火様はどのような香りが
お好みでしたか?もしくは、
お好きなお色とか…ご存知でしたら」
「今、なぜそれを聞く必要がある?」

「今、知りたいから聞いてるんですって。
色々ありますよ?白檀、伽羅、沈香、薔薇に、
桜、ラベンダー、金木犀もあります」
そう言いながらあげはが鞄から
小さな細い筒を何本も取り出して見せた

「後は、石鹸とか、すずらんと、梅もあります。
変わった所だと、コーヒーとか、チョコとか、
抹茶もありますよ!」
「だから、何の話だ?」
「何って、線香の話に決まってる
じゃないですか?お墓参りですよ?」

怪訝そうな顔の槇寿郎と
同じように怪訝そうな顔のあげは

「その様な香りの、線香もあるのですか」
知りませんでしたと千寿郎が言って
「嗅いでみる?チョコ」
と茶色い筒を開いて千寿郎に嗅がせる
「わぁ、本当だ。ちゃんとチョコレートの
香りがします」
「でしょでしょ?」

「くだらん。燃えてしまえばどれも同じだ」
「え、違いますよー。匂いが違いますもんっ」

あげはが持っている線香の入った筒には
古いものもあって使い込まれている様だった
今回の為に特別に
用意したと言う訳ではない様だった
そして 筒を開いた時に
中に紙が入ってるのが見えた

その紙には名前が書かれていて
その数名の名前には 槇寿郎も覚えがあった

死んだ 仲間の…好きな香りを覚えているのか
そう言われてみれば
夕飯に俺が10年近く前に好きだと言った
物が用意されていたことがあったな

「そんな事して、何になる?
お前も、物好きなやつだな…」
「私のこれは、半分趣味みたいなもんですけど…
線香は墓前に供えるだけじゃないですし…
どうせ、供えてもらうなら好きなものの方が
きっと、嬉しいですから」


「死んだ者は帰らん」


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