• テキストサイズ

その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第78章 待宵月が見下ろすは…罪




痛い程に…感じている…

この運命の前には…自分はなんと

無力な存在であるのかと…



「…何もかも…
天命に従うまで、なる様にしかならん。
もう、あの馬鹿弟子の、あげはの運命も、
あの槇寿郎の倅の運命も、
私達の手の及ぶ場所には
大凡に、あらんと言うのに…。槇寿郎め。
全く、のう、そうは思わぬか?月よ?
待宵月、お前には、庵に戻ったら…
私の酒に付き合って貰うからな。覚悟しておけ」



そう漏らす様にして 呟きながら

己の苛立ちを隠せない様子にしながら

月を見上げるのは

馬鹿弟子…こと あげはの師範だ


生まれも育ちも吉原の生まれついての遊女


産まれた場所が吉原で

自分にこの道の才能があると知ったのは


吉原で太夫にまで昇りつめて

皮肉にも身請けされて


吉原と言う名の鳥籠から外へ出た後だった


あの広くて狭い 吉原と言う名の籠の中では

どんな 剣に対する才覚を持って居ようとも…

その才能が評価される事も

望まれる事もない


あそこで

必要とされて求められるのは


商品としていかに

自分の居る見世に対して重々な駒たるか


男を騙していい気分にさせて

搾り取れるだけ 搾り取る

持てる金の

財の全てを 見世に…

延いては 己に

如何にして 損を感じさせずに

気持ち良く落とさせるかだ



その為の手練手管であるのであれば…



自分も掃いて捨てるほど居る

幾らでも替えの利く 潰しのある様な

顔がいい遊女ならごまんと居る

床上手で 上品(じょうぼん)の

具合のいい 遊女なんてごまんと居る

そんな…

数多の遊女の中で しのぎを削って


太夫にまでなった妓なのだから知っている

そう 知っているのに…

知っている はずなのに…


ふぅ…と 

その元遊女は ひとつため息をついた


/ 1961ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp