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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第77章 鏡柱と羽織



「ええ、それは
杏寿郎の仰る通りにありますが。
でも、それを私がそうしたいと思いながらも
向け合えずに居た…事は
事実にございますので。
私が彼と…、
透真さんと正面から向き合える。
その為の勇気を私に与えて、下さったのは、
他の誰にもなくに、
…杏寿郎、貴方にありますから」

あげはのその言葉に杏寿郎が
満足そうにして小さく頷くと

「どうだ、君も飲まないか?あげは」

そう言って杏寿郎が
蜂蜜酒の入った片口酒器を見せて来て

「ええ。頂きます。杏寿郎」

用意されていたぐい飲みを
あげはが差し出すと
杏寿郎がぐい飲みに蜂蜜の香りが立つ
熱燗を注いでくれたので

「では…、杏寿郎…、
私からもよろしいですか?」

「ああ、頼む」

杏寿郎の手から片口酒器を受け取ると
杏寿郎のぐい飲みに
あげはが蜂蜜酒を注いでいく

お互いの手にあるぐい飲みを合わせて

チン…と音を立てて乾杯をする

ぐい飲みの口元に運ぶと

ふんわりと蜂蜜の香りがたつ

ぐいっと…一口 口に含むと

口の中に蜂蜜の香りが充満する

こくん…と喉を鳴らして 酒を食道へと送る


「いいもんだな…」

「ええ、そうですね…」


そのまましばらく酒を一緒に呑んでいて

熱燗で身体が熱くなって来るのを感じていると


杏寿郎の方も 私と同じ様に感じていたのか

「少し…風でも通すか…」

そうこちらに向かって声を掛けて来たので
小さく首を縦に振って頷いて同意すると

杏寿郎がその手に持っていた
ぐい飲みを置いて立ち上がり

ガラッと杏寿郎が外に繋がっている窓を開く

心地の良い夜風が部屋に入って来て


その風の出所を探す様にして
その開け放たれた窓の外へと
あげはが目を向けると



空に浮かんでいるのは 

十四夜の月…だった


良く目を凝らして見なければ…

満月とそう変わらない… 十四夜の月





待宵月が


こちらを静かに見下ろしているのが見えた








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