第77章 鏡柱と羽織
そう 俺に告げて来た
その口調からも並々ならぬ
あげはの強い意思を感じる
ある意味…彼女らしい…
答えの形なのかも知れないな
俺はどうにも白と黒を求めてしまいがちだが
白でも黒でも無いし…
そのどちらであるとも取れるその答えは
らしいと言えば あげはらしい
捉えように寄れば 柱に戻るよりも
更に自分に試練を与える様にも取る事も出来る
君がその歩みを
止めるつもりがないと言うのであれば…
俺がするべきこともまた一つ…か
「なら、君は…明日の戦いの後も、
柱になる事はなくとも
鬼殺を続けたいと、その剣を更に磨きたいと
そう思って居るんだな?あげは」
杏寿郎があげはにその意向について
確認を取って来て
「ええ。勿論にございます。杏寿郎」
あげはが自分の羽織を
確かめる様にしてその手でなぞると
杏寿郎のその言葉にこくりと頷いた
「透真さんが…
私に与えたこの課題の先にこそ。
師範が仰っていた、境地に
私が達する事が出来るのだと。
私の弱点を…、私が。その時に
克服する事が出来る時であると。
その様に、思っておりますので。
それが透真さんの願いであるのなら、
私は…。透真さんの事を、己の手で
終わらせる事が出来たからと言っても、
その後に日輪刀を置くことは、
…許されません事にありましょうので」
「そうか。もう…君は…その先を
…見据えているんだな…。
明日は…、皆の前でも君は
鏡柱として振舞う事になるだろう。
あげは…、だから今は…、俺の為だけに…。
君に…、鏡柱…であって貰いたいんだ。
今のこの時だけ…、あげは。
俺のその我が儘を叶えてくれないか?」
「でしたら、着物ではなくに、
いつも着ております、隊服の方が
良かったのではありませんか?杏寿郎」
あげはがそう尋ねると
いいやと杏寿郎が首を左右に振って
俺の為の鏡柱であって欲しいと言う意味だから
羽織りの下は 隊服でなくていいと
杏寿郎がこちらに自分の意思を伝えて来る