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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第77章 鏡柱と羽織



「杏寿郎…、そんなに
見つめられてしまって居ては。
私の、身体に
穴が空いてしまいそうにあります…」

「何だ?見すぎ…だとでも、
言いたいのか?あげは」

「私の身体なんて、もう…何度も、
それも隅々にまで、杏寿郎は
ご覧にあられましょうのに…?」


珍しい物での何でもないとでも
言いたそうにして
あげはが杏寿郎に言って来て

着物を纏うのを その視線に
邪魔をされている気分になりながらも
そそくさとその着かけになって居る
着物の乱れをあげはが直す



「あげは…、俺が
君を見ていた事は事実だからな。
それは、俺も否定するつもりもないが。
1つ…君に願いたい事が
あるんだが…、いいだろうか?」


簡単にではあるが ある程度の
恰好はつく様に着直すと
炊事をするのに邪魔にならない様に
あげはが解いていた髪を
鏡を見ずに手で纏め直している所に
杏寿郎が声を掛けて来て


「私に…に、ありますか?杏寿郎」


「明日…、の事なんだがな。
あげは、君には…
俺が贈ったその簪を挿して…
彼を、三上透真を
迎えて貰いたいんだが…ここで。
俺の願いを、聞き入れては
貰えないだろうか?あげは」

「…――ッ、杏寿郎…、それは…ッ」

「そうして…欲しい…、君に…。
ダメだろうか?それと…」



蝶屋敷の仁科 あげはとしてではなく
炎屋敷の…と言うよりは 
杏寿郎のと言う方が正しいのだろうが 
杏寿郎のあげはとして
私に明日のその時を
向かえて欲しいと杏寿郎が言って来て


いいえとあげはが首を左右に振る


あげはが髪から外したままになっている

いつも身に付けている カナエに貰った

自分の両の手の中にある

蝶の髪飾りに視線を落とす



その蝶が飛んで行かない様に

自分の両手で

ふんわりと包む様にして空間を作り

その空間の中に蝶の髪飾りを閉じ込める



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