第9章 療養編 煉獄家にて
2人が夫婦になって 子供でもできれば
こんな感じなのかも 知れないと…考えたが
「おいっ!いつまで寝てやがる?
さっさと起きろ!朝だぞ?」
槇寿郎の声にあげはがガバッと体を起こした
「すいませんっ!!寝過ごしてしまいました!
…って、あれ?」
俺の声であげはは起きたが
後の2人はまだ眠っていた
「槇寿郎様!大変ですっ!」
「ん?何が大変なんだ?」
「めっちゃそっくりです!
可愛いすぎじゃないですか?」
昔 2人の寝顔を同じ様な事を言って
瑠火が眺めていたのを思い出した
「3人で、一緒に寝られては?」
キラキラした期待に満ちた視線を
あげはがこちらへ向けて来る
「何で俺まで…バカバカしい」
そんな事言い出すのまで
瑠火と発想が似ていて
辛くて 忘れてたいと思っていた
記憶も 思い出も 全部
それなのに 不思議なものだ…
今はそれが 懐かしくて…
温かいと感じるなんてな
「で、…したのか?」
槇寿郎の問いにあげはが目を丸くさせた
「したって、…何をですか?」
「一夜を…共にしたんだろう?」
ちらっと布団の山をあげはが見ると
「そう言われますと、…2人と一夜を
共にしてしまっていますが?」
あげはの言葉を聞いて
槇寿郎がはぁーっと深いため息をついた
千寿郎は朝に様子を見に行ったのではなく
夜に遊びに行っていたのか…
「千寿郎と、今晩から一緒に寝ると
杏寿郎に伝えておけ…」
あげはが2人を起こして
4人で朝食を摂り終えると
槇寿郎があげはに尋ねて来た
昨日外出するので入浴を強要されたのだ
「で、今度は何を…俺にさせるつもりだ?」
「そうですね、ずっと注射ばっかりする訳にも
行きませんので、お薬を飲んでもらっても?
ウルソと言う、熊の肝から抽出した成分で
肝臓の働きを良くするお薬です。
漢方もありますが苦いので」
飲みやすいですよとあげはが言って
槇寿郎に薬を差し出した
「ん?俺の飲んでる物と同じだが?」
「ああ、そうですよ。例の鬼との戦いで
杏寿郎さんの肝臓の損傷が激しかったので、
半分以上切除してますから!」
「そうだったのか!知らなかったぞ!!」