第9章 療養編 煉獄家にて
なるほどと…納得してしまった
これは マズイ…それも色々とマズイな
けど…もう少し
この痺れる感覚を味わいたいのもあるし
もう少し…甘い声を聞きたい…のもある
自制心…はまだ余裕があるし
…もう少しくらいなら…
ただ 指を絡めて口付けているだけなのに
目の前にいる彼女が
ただただ 愛おしくて
仕方がなくて 堪らないのだ…
もっと 可愛がりたいと思ってしまうし…
もっと… 欲張りたくもなる
あげはは 可愛いな…
「やはり、君は…可愛いな」
そう口付けの合間に囁くと
再び口付けを続ける
少しだけ開いた唇の隙間から
彼女の口腔内に舌を差し入れて
舌の先を舌の先で触れる様にしてつつくと
その感触と形を確かめるように
舌に舌をそろっと這わせた
あくまで 軽くすると約束したので
その範疇を超えると後で睨まれてしまうからな
ダメも多いし 欲張らせても貰えない
「杏…、寿郎さんっ…。手を…手、離して…」
なぜか彼女は口付けの方でなくて
手を離せと言うのか?
「どうして、…手を離せと言うんだ?」
唇を解放して 問いかけると
「いくら…、そっとしてもらっても
…手繋いでたらっ…意味が…ないので」
「ダメなのか?」
「ダメ…とは言ってないです…」
彼女は俺のダメには弱いようで
それ以上はやめろとは言わなかった
「どうしてダメなのか
…は教えては貰えないのか?」
「それは…言いませんっ!」
理由を尋ねられて 言えるわけもなくて
そんな… そうして口付けられたら
変な声が我慢できないので
止めて欲しいって言えと?無理無理っ…
そんな事 言えない
「なら、確かめるしかないな…
君が言わないのなら」
そう言うと絡めた指をそのままにして
再び唇を重ねた
しばらく口付けと軽い口吸いを楽しんで
「見るのが、叶わないのなら…
触れて確かめるのは?どうだ?」
繋いでいた手を片側解放すると
自分の右手をあげはの寝巻きの上から
左の太ももの上に置いた
傷が見せられないと言うのなら
傷の所に触らせろと言う事か…
「そ…それは…」
でもそれは ピンポイントに傷を
手探りで探り当てる訳で
傷じゃない部分にも…当然触れてしまうから
「見せるのなら、そちらでも構わないが?」
相変わらず 選択肢の2極が極端な人だ