第75章 (100+1)+1+〇=108
「ああ、あげは…、
この先にも…あるんじゃないか?」
そう自分にあげはの意識が
向けられるのを逸らす様にして
杏寿郎があげはに声を掛けて来て
都合よく誤魔化された様な気がして
今一つ 府には落ちない部分もあるが
自分も確かに
この部屋の先がどうなって居るのかが
気になって居たには気になって居たので
杏寿郎の提案を飲む様な形で
あげはがその先に続いている部屋の襖を
ガラッと音を立てながら開くと
畳一面にバラの花びらが敷き詰められていて
その敷き詰められたバラの花びらが所々に
ハートの形に畳が見えている様に切り取られて居て
「まぁ、これは、凄いですね!!杏寿郎。
花びらで描くのではなく、
発想を逆にされたのですね…。
この柔和で自由な発想は、
流石春日さんにありますね。
杏寿郎はご存じには無いのでありましょうが、
このバラの花の道しるべは。
玄関から続いていて廊下をぐるっとこちらまで、
私を導いて来てくれたのでありますが。
その、花びら達はですね、
私が、こちらに拾い集めてしまいまして…これを…」
そう申し訳なさそうにしながら
ハンカチに包んでいたバラの花びらを
あげはが杏寿郎の方へ見せて来て
「いや、多分、…あげは…、
君ならそうするだろうと思っていたからな。
君がそうしてそれを拾い集めるのを前提にして、
春日にはそうしてくれと頼んだんだ。
春日のあの性格だからな。
それだけで良かったのに、
それが…こうなってしまったんだろうな。
玄関から、この部屋まで、
バラの花の道しるべを作っておいてくれと
俺は春日に依頼したんだが、
春日は凝り性な部分があるからな。どうにも」
「いえ、お部屋に差し掛かった途端に
花びらの使用されている量が
各段に多くなってしまいまして。
私のハンカチの中には、拾い集めようにも、
どうにも収まりきらなく
なってしまいましたので。
それに、ここまでの力作を
崩してしまうのは…私にはできませんでして」