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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第74章 ちょっとした逢引



宇髄は三上透真本人から彼女を託されて

俺はその宇髄から 彼女を託されたのだから


「彼…も中々に…酷な事をする、
あげは…君にとっても酷な事には違いないが。
彼自身にとっても、酷な事には違いはあるまい。
鬼との長きに渡る、孤独な戦いの先にあるのは、
死の救いしかない。
一番、愛おしいと想う者を残して、
死するしか許さないのであれば。
せめて…、そうでありたいと…願う…しか…、
己の身には許されないのなら…ばッ。
俺は…その、彼の後悔と心残りの全てを
この背に背負うつもりでいる!」

ぎゅううっと
往来の真ん中で抱きしめられてしまって

「きょ、杏寿郎…ッ、あの、
こちらでは…そのっ、
目立ちすぎてしまいますので」

「そうだな、場所を変えよう」

そう言ってそのまま横抱きにされてしまって
ドンっと杏寿郎が足で地面を強く蹴ると
あっという間に町の景色は流れて行く

「あのっ、杏寿郎、抱いて頂かずとも。
私は自分で走れますッ」

「ああ、知ってる。
だが、俺は今、そうしたいと思った。
自分の足で立つ事の出来る君を、
歩く事が出来る君を。
俺と同じ速度で走る事が出来る君を、
こうしたいと思った。
それがどういう意味か、分かるか?あげは」

「杏寿郎…、それでは、私は…、貴方に…
甘えてばかりになってはしまいませんか?」

「俺は…もっと、君に甘えられたいがな?」

杏寿郎の言葉に 
それを彼が望んでくれているし
私がそう言った弱音を漏らして吐くのを
じっと静かに待ってくれているのも感じる

ぎゅうっと
杏寿郎の身体に腕を回して縋り付くと
自分の顔を杏寿郎の胸に押し付ける
左胸に押し付けた自分の右の耳からは
ドッドッ…と規則正しいリズムを刻みながら
彼の心臓が拍動する音が聞こえる

私が救った…命だから…好きにしてもいいとは

彼の口から何度も聞いた言葉だったけど


「私は…、師範にも言われましたが…、
甘え下手…にあるそうです…」


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