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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第70章 町行かば 再び



「イタリアで制作された、
モノクロのサイレント映画ですね。
制作された翌年には浅草にある、
電気館で上映されて、それはそれは
連日大盛況の凄い大人気映画だったとか…。
その、アントニーとクレオパトラが
今日はこちらで観られるのですね」

「愛によって、その身だけでなく
国をも滅ぼした様な
そんな内容の話じゃなかったか?」

「杏寿郎は…、
クレオパトラにご興味がおありで?」

「多少、本で読んで知ってる程度にだがな…。
自国の事も大切ではあるが、
視野を広く持てとは母上の教えだったからな」


2人分のチケットを列に並んで購入して

簡易のテントの様な建物の中で映画を楽しんだ


「どうだった?中々楽しめる内容だったか?」


映画を観終わってテントの外に出ると
杏寿郎がそうあげはに声を掛けて来て


ふふっとあげはが笑って見せると
杏寿郎の顔を覗き込んで


「杏寿郎…、貴方にひとつ…
お遊び程度にお尋ねしても?」

「ああ、いいぞ?あげは。
アントニーとクレオパトラの話だろう?
俺の君への愛がいかほどの物か、
君もクレオパトラの様に俺に尋ねたいのか?」


クレオパトラがアントニーに
自分への愛はいかほどの物かと尋ねたのを
準える様にしてあげはが杏寿郎に
そんな問いかけをしてもいいかと尋ねると

こちらがまだ問い掛けて居ないのに
杏寿郎がそうしたいのかと問い返して来たので
杏寿郎はこの元のシェイクスピアの話でも
知って居たのかと思ってしまわなくもないが


「俺の君への愛は、この世では、
到底足りずにあの世までも…と、
女性は言われたい物なのかも知れないが。
そこを何とか、あげは。
俺の身ひとつにまけて置いてくれないか?」

杏寿郎からのその返答に
あげはが自分の口元を押えてクスクスと笑うと

「ええ、杏寿郎…、
それで十分にありますよ。
私には、エジプトの王等と言う
肩書はございませんから。只のしがない
鬼殺隊の一員にしかございませんので。
貴方のその身ひとつに、
私のこの身ひとつにあります」



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