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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第70章 町行かば 再び



「杏寿郎…これから、
この後はどうなさるご予定で?」

あの洋館の連れ込み宿に泊まるとは
話にはあったから知っているが
それまでにまだまだ時間がある…

「そうだな、もうそろそろ、昼の時間だろう?
どこかで、昼食にして。
その後は…活動写真でも観に行こう」

そう言いながら
差し出された杏寿郎の手を取って
こうして手を繋いで街を歩いていると
後2日後の夜に
彼との決戦が控えてるのだと言う事を
こっちもすっかりと忘れてしまっていて

「今日は…、何もかも忘れて。
俺だけのあげはで居てくれないか?」

「…っ、杏寿郎…、そう仰らずとも、私は
いつでも、杏寿郎のあげはにありますよ?」

そう返しはしてはみたものの

私にだってその言葉の意味位は解ってる

私の持つしがらみを今だけ忘れて

2人の時間を愉しみたいと言う意味なのだろうが…


それから街歩きを楽しみながら歩いて
とある店の前で杏寿郎が足を止めた


「あげは、君はビフテキは好きだったか?」

「ビーフステーキ……にありますか?
ビフテキは牛肉だけに限らず、肉や魚でも
鉄板で焼けばビフテキになるのだとか…」

「そうは言っても、一般的には
厚切りの牛肉を焼いたものだがな。
明治の文豪達も、
愛したビフテキでも味あわないか?」


上田敏、与謝野鉄幹、夏目漱石、
森鴎外、二葉亭四迷…と
名前が挙げれば洋食を愛した文豪達はキリがないが

多くの文豪が愛した老舗の洋食店だった


精養軒


「食べるだろう?確か君は洋食も
好きだった様に記憶していたが?」

「ええ、どちらかと言うと
洋食の方が作るのも得意なのですが…」

テーブルについて メニューの中から
お目当てのビフテキにエビフライにグラタン
ハンバーグにビーフシチュー ハヤシライスに
カレーライス…とメニューを全部注文した方が
早いのではないかと言う勢いで
杏寿郎が注文をするので
お店の給仕係の女性が驚いた様子だったが

「ああ、それとナポリタンも頼む」



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