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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第70章 町行かば 再び



木製の小さな匙が2つ
アイスクリンに刺さっていた

下の段のアイスクリンは定番のアイスクリンで

その上に爽やかな
青のソーダ味のアイスクリンが乗っている


「普通のとソーダにしたんだが、良かったか?」

「白の普通のだけじゃないんですね」

「ああ。新作らしいぞ?味見…してみるか?」

「ソーダ味も美味しそうにありますね」


あげはがアイスクリンに刺さっている
木の匙を抜くと ソーダ味のアイスクリンを
掬って自分の口の中に運ぶ

ふわっとその顔が緩んで

「ソーダも、美味しいですね。
杏寿郎…も、お食べになられないのですか?」

「食べさせてくれないか?君の手で俺に」

「……わかり…、ました…」

持っている木の匙で
ソーダのアイスクリンを掬うと
杏寿郎の口元にあげはが運んで

「杏寿郎?口…、開けて頂かないと…、
溶けてしまいますが?」

ズイっと更に杏寿郎の方へ
あげはが匙を近付けると
杏寿郎が口を開けたのでその中に
掬ったアイスクリンを入れると

「…逢引らしい感じが出るかと思ったんだが、
どうにも、君に食べさせてもらうと。
自分が、病人か怪我人にでも成ったかの様だな」

「悪うございましたね。どうせ、
介助が板についておりますよ」

そう言いながら 更にアイスクリンを匙で掬うと
杏寿郎の口元に差し出して来て

「俺が、思ってた感じと違うんだが?あげは」

「私がするから、そうなるなら…。
杏寿郎がなさればいいのではありませんか?」

売り言葉に買い言葉ではないが
その流れで言ってしまってから

ぱぁっと明るくなった杏寿郎の顔を見て
しまったと思った時にはもう既に遅く

「…ふむ。確かに、それも…、そうだな。
俺が君に食べさせればいいんだな?」

杏寿郎がアイスクリンに刺さっていた
もう1本の木の匙にソーダ味の
アイスクリンを掬って

こちらの口元に近づけて来て


「ほら、君も食べるといい。美味いぞ」


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